ため息ひとつに、ふたつの感情(SS作品)

 期待されないのは、嫌だ。
(だって、それだとまつで自分が必要とされていないみたいだから)
 期待されるのは、恐い。
(だって、相手をがっかりさせたくないから)

 ひどく矛盾した、そんなふたつの感情を抱えながら、冬の気配が濃く漂い始めた夜空に向かって、ひとつ、息を吐く。
 そんな自分は、たしかにひとりの人間なのだなと。
 夜空に消えていくため息を見つめながら、不思議に思った。

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