求むヒーロー、大至急(SS作品)
あの日、泣いていた君はもういない。いなくなってしまった。
だけど、それは悲しみが君から去ったからではなく、君が泣くことをやめてしまったから。
涙を流さない方法をいつの間にか身につけた君の唇はあの日の目元よりも赤くなっていて、
君はどれだけ歯を食いしばり泣くのを我慢してきたのだろう。
『僕の前では我慢せずに泣いてもいいんだよ』
そんなありきたりな言葉さえ言えない僕は、なんと無力なのか。
ぐっと噛みしめた唇から鉄のにおいがして、僕は泣きたくなる気持ちをおさえて叫んだ。
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