くらげとカレーと進化論(SS作品)

タバコの煙で白んだ天井からぶらさがっている青いガラスに彩られたライトを見て、思う。
まるで海の中、いわしの大群に紛れ込んだくらげのようだと。

よく知らないバンド音楽と仲の良い店員同士の楽しそうな笑い声が溢れる喫茶店の中で
そんなことを考えながら、
昭和の純喫茶にありそうな四角いテーブルの木目をひとり見つめ、気づく。
「昭和の純喫茶」などと言っておきながら、昭和生まれの自分は「昭和の純喫茶」というものを知らないことに。

「お待たせしました」というぶっきらぼうな声とともに運ばれてきたカレーは
最近はやりの色とりどりのおかずや野菜が盛られたもので、
「進化とはこういうものなのかもしれない」と思いながら、
銀色のスプーンを手にするのだった。

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