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【雑記】この生が一度きりならば

2月中旬にドバイから帰国して以来、
「守る/守られる」関係についてよく考えます。
それは親と子の関係にも言えるし、男と女、
政府と国民のあいだにも相互に生まれるものでしょう。
言い方を変えるとしたら、たとえば「愛」だろうか。
それとも「依存」だろうか
(あなたは誰かに利用されることがそんなに怖い?)。
死者と生者、神と人間のあいだにも見えない道が通っている。

他人を信じることは、常に裏切られるリスクをはらみ、
誰かと結ばれた時点で「別れ」へのカウントダウンがはじまる。
わたしに毒を盛るのは、見知らぬ人ではない。
わたしとごく親しい誰かなのだ。
それでもいい、と身をさし出せるだろうか。

この生が一度きりならば、
他人の中に「自分」の存在を深く響かせたい。
自分の中にも深く「他人」を握っていたい。
地位や栄光で繋がるのではなく、深さにおいて出会いたい。
それはもちろん「書くこと」にも繋がる。

どれか一つを選ぶために苦しまなくてもいいのだ。
守るのは「自分」か「他人」か。
選ばなかったものは、すべて切り捨てるのですか。

「たくさん」を選ぶ勇気を持とう。
「ただ生きる」ことだって揺るぎない選択だと思う。

――2015年4月21日深夜

◎幻冬舎plusにて〈詩人のドバイ感覚紀行〉連載中です。
中東の商都ドバイで過ごした1ヶ月を綴っています。毎週(日)更新。

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