11月はジャニスの閉店セールで足繁く御茶ノ水に通った。"音の図書館"とまで呼ばれたレンタル店の在庫放出…ブックオフや中古CD屋などの閉店に出来るだけ駆けつけようと決めていた2018年の、まさに集大成となるような一大イベントだった。
　セールは11月を通して行われた。日が経つにつれ段階的に値段が安くなり、売れて棚が空けばバックストックが追加されていく。5日から3日間は会員限定の全品800円セール(一部高額盤を除く)。8日以降は会員以外も対象となりしばらく1,000円セールが続く。18日からは500円となり(一部は同上)、いよいよ月末の閉店を控えた28日からの3日間はなんと300円(これまた同上)。燃えないはずがない。
　当然狙い目は各段階の初日だが、18日が日曜な事を考えると大変な混雑が予想される。13日ごろ？から店先で展開していた100円青空市を見に行くついで、15日にも下見に行くことにした。
　 一日の流れはまず、朝6時に仕事から帰って最速で寝る。8時半に起きてすぐに出かける。11時の整理券店頭配布よりおそらく一時間くらい前から実は店内で配っているので、遅くとも10時半に現着する。一度に入店出来るのは50人が限度なため、ここで躓いて50番以降になると大幅な遅れを食うことになる(制限中は10人出るごとに10人入れる)。12時に開店。入店後の立ち振る舞いはフェーズや場(在庫)ごとに異なるが、だいたい滞在は一時間程度。そうしないと夜の出勤まで睡眠時間がなくなってしまう。

　5日のセール初戦はまだシステム面を把握していなかったため整理券67番、遅れを食ってのスタートだ。しかしさすがはジャニス、いつ来ても眩暈がする品揃え。普段中古盤で800円くらいでも買うものと言うと正直あまりピンとこなくて、どうしても欲しいものぐらいと身構えていた。見つけたら買いたいものを事前にリストアップしていたが、スタートの出遅れと前年の移転後の店内マップを把握していなかったせいもあってか、ほとんど見つからなかった。結局廃盤や複数枚組、"これは僕が持たねばならない"と思うものを5点セレクト。このほかLSDの編集盤を手に取ったが、あまりの混乱にテンションが下がり、棚に戻してしまった。(それ以降見かける事はなかった。)

　今は再発シリーズもあるけど、かつてはYBO2を聴こうとしたら中古を探すかジャニス行くかしかなかった訳じゃない、それで多くの人、サブカル学生とかが借りてった盤をうちに預かってきた、ってのがもう、堪らない。因果！ジャニスで借りた中で一番衝撃的だった土方巽のCDもゲットできて良かった。

　15日の青空市。現時点で100円にされるとは相当な盤、あるいは回転数悪かったものか？と興味津々で臨んだら、ブックオフ廉価コーナー常連なレゲエ(シズラとか)、R&B(コモンとか)、ロック(シンプルプランとか)等々目白押しで、そのジャニス感のなさに寧ろテンション上がった。いや当然こういうものを揃えてこそのジャニスか。そして意外にも日本のインディーズや新しめのエレクトロニックミュージックもあり、しっかりその辺を頂いていく。店内に入って18日の目星もつけた。同じことしてると思しき人もちらほら。帰りがてら池袋ユニオンのレジ前特価棚に吸い込まれる。

　この辺りで友人と会って話をしたら、意外なほど盛り上がってる人が少ない。勿論かつてのジャニスユーザー達も含めてだ。タイムライン上で収穫物を披露している人も片手で数えるほど。みんなどうしたんだ？訊いてみると「行ったところでもう目ぼしい物はなくなってるだろうから諦めた」という声がちらほら。いやね、ジャニスのTwitterアカウントでも言ってたけど、舐めてますね。確かに粋を集めたような、耳の肥えたハンター達(平日の朝からこんな、普段どこで何してんだろ…)で連日賑わってはいるけど、一度行ってみればわかる、それどころじゃない在庫の数なので…また「店の常連だった人々の手に渡るべき」というのも気持ちはわからないでもないけど、ほんと手に負えないくらいの量があるし、こんなことまずもうないだろってぐらいだから、かつて通ってた人は勿論、少しでも興味ある向きは絶対行った方が良いと思うんだけど…まぁいいや。

　18日。ここが一番の勝負どころ。10時半ごろに整理券を手に入れると33番。これは行けたか…！？気を落ち着けつつバーガーキング～ユニオンで開店時間を待つ。開店直前、ジャニス前で待機しているとサークルの先輩であるYuyさん(Secret Messenger)ご一行に出会う。ジャニスに通ってた頃は行き帰りの道でこうして知人に会うことが何度かあったなぁ、特に金券バック日は…なんて思い返す暇もなく戦場へ。
　結果から言うとこの日は大成功。予め目星をつけたものはほぼ回収できた(Zoviet-FranceとかZos Kiaとかは無くなってたかな)。発見だったのが5日に高額指定だったもののストックが隣に出てきたりしてて、そちらが指定なしのためそのまま500円で買えたこと。"テクニック"が磨かれてきている。

　もうここでかなり満足したので、あとはその場の気分で楽しむことにした。ラスト3日間、300円セールの初日28日は整理券10番。三度目の時間潰しコースではあるがユニオンでSSESSSを拾う。
　開店。実質ブックオフ280円コーナーだ、と思ってカゴに放り込んでいく。あっという間に制限の30枚だ。プログレ系をごそっと持っていけた。音素材・サンプルCDにも手出そうとしてたけど余裕なくなってきて断念。割とまだ評価の定着してない(かつ中古相場も落ちてない)ここ2年くらいの新譜が狙い目かと思ってたけど、ほとんど無くなってた。

　本当はここで終わりのつもりだったのだけど、30日ラストデイに外出(後述)がてら折角ならと寄ることにした(この日は仕事休み)。16時前後だったか、ちょうど列はけが終わった後～仕事帰りの人が押し寄せる前で並ばずに入店できた。何が残ってるかなと見たプログレ～マージナル棚でズッコケそうになる。800円初日で見かけたら買おうと思ってた(無かったから諦めていた)Ne Zhdali関連がドカッと出現している。これもストックだったのか…最終日にまでこんなことが起こるなんて恐ろしい、恐ろしすぎるぞジャニス。この他、あんまり見るもんないかなと思っていた棚に欲しいものがポツポツ見つかったり、自分ではこのジャンルだと思ってないとこで発見したりで18枚買った。ありがとうございました。最後の最後までワクワクさせてくれたジャニスにBig Up！本当に凄い店だった(そしてこれが"本当の最後"ではなかった…12月の日記へ続く)。

　この日ジャニスに寄る前に新宿のプログレ館でレジ前シールものハントした。シールもの追加の報を見たときあったものが気がかりだったんで覗いたんだけど、しばらく前だったからか無くなってたな。

　この他11月のイベント。まずは16日深夜、神楽音でのインダストリアルイベントCORROSION。これまで何度も行きたいと思いつつ都合がつかなかったけど、ようやく参加できた。Tokyo Industrial Music Correvtiveの名に相応しい100％純インダストリアル、しかしその語が持つ可能性(ハーシュ～リズミック～NW～テクノ～EBM etc.)も見据えたレジデント陣+キュレーションの妙で素晴らしかった。体力がないタイミングで苛烈な音響とビートにあまり身体が持たなかったのが悔やまれる…

　29日はオーチャードホールにてキングクリムゾン来日3日目に参加。前回15年の失敗(先行で押さえてめちゃくちゃ後方の席だった)を踏まえて当日券で突撃。結果PA席横辺りだったので申し分ない環境で観ることができた。この日のセトリは最難曲のフラクチャーをはじめ結構レアなセットだったらしいけど個人的にはレッド～戦慄系チューンの応酬に胃もたれ気味。後にセトリみると聴きたかったディシプリンやニューロティカをこの日だけやらなかった模様…でも歌もので冷たい街の情景や堕落天使、サーカス無しだったけどリザードなどを聴けたのが嬉しかった。また来て下さってありがとうございます、3年後も待っています、という気持ち。

　30日は山野ホールにて声優の工藤晴香さんの個人イベント「TOKYOくどはるコレクション」。美容系専門学校併設のホールということでランウェイを活かしたファッションショーという趣。「ごきげんよう」を模したゲストとのトークパートも含め、オーセンティックなエンターテインメントに落とし込んでいくのがらしいなと感じた。グッズのTシャツもフリーサイズのビッグシルエットで、遠目にはジョイディヴィジョンの『クローサー』風なデザインも◎。こういうイベTによくある酷いデザインで信仰心を試すみたいなことが全くなく、むしろ本人が"普段使い"という言葉をよく使うことからも積極的に着られるように考えてくれてるのが嬉しい(その場で着替えたオタクたちが割とそのまま外歩いてて不自然でない感じになっていくのが面白かった)。普段の発言とかでも、声優ってフィールドの中でこれだけカルチャー感出してても全くサブカル臭がなく、やり方を考えながらメインカルチャーをやっていくのが痺れる。最後ソロステージで歌ってる姿を初めて見たけど、眩しかったな…

　11月は1日おきにインスタのストーリーに過去自分がやったコピバンの音源をちょこちょこ載せていた。10年間も何やってんだろうな、という気分になってくる前に月が替わったので止めた。危なかった…

　ブラックフライデーでは狙っていたプラグインのセールがアナウンスされるも結局始まらなかったり、関係なく買おうとしてたものがタイミングよくセールやってて飛びつこうとしたらシステム面のエラー？で買えずお預けをくらったりであまり派手な買い物が出来ず、燻っていた。