キングクリムゾンのカバー曲

 訳あって最近はキングクリムゾンばかり聴いてる。オリジナルアルバム一通りとライブ盤(サブスクにあるのと手持ち数枚)を時系列で聴いていった。更には「人々がキングクリムゾンに求めているもの」の一端を知るため、KC曲をカバーしているものを手当たり次第聴いてる。備忘録も兼ねて、そこで見つけた面白いカバーを貼っていこう。(Spotifyにあるもののみ)


21st Century Schizoid Man

 やはりスキッツォイドマンが筆頭に挙げられるか、タイトルの記名性も高くたくさんヒットする。しかし色々聴いてみて案外、志の低いカバーばかり…いやその、つまり、あのキメを省略したものが大半だ。何で?一番おいしいとこなのに。そこやりたいが為にカバーすんじゃないの?実際はあのリフと歌がやりたいだけの人が多いようだ。ただその中にも印象的なカバーはあり、やるならこれぐらいやってくれというものをいくつかピックアップ。

・秦琴弾き語りバージョン(Kurt Bauer)


・デルタブルース風(Johnny G)


・やはりノルウェーのShiningは最高


・テオトラヴィスのカバーは大胆にもキメ部分のスムースなアレンジから。なんと例のリフも歌も無し。清々しい!


 逆にドイヒーなので印象に残っているもの

・すごい勢いで歌詞を消化したかと思えばジャム風の演奏に合わせて歌いだす。ださい…(最高、の意味)(Noir Désir)


・途中から全く違うリフにアレンジ。最初はオッと思ったが歌が乗ると途端にださくなる。最高。(Jason Rawhead)


・Black Widowから出してるGoadのカバーはどっから聴いてもドロドロしてて気持ち悪いし無駄に長い。そこがいい、とも言える…のか?


・途中で別曲が挟まるパターン。しかもSee Emily Play。メインリフが上がり切らないのもなんか引っ掛かる…(Let 3)

 途中で別の曲が挟まるといえばHIDEのもそうなんだけどHIDEは別曲の割合が多すぎるので省いた。


・これだけ色んなバージョンと聴き比べても西村雅彦のカバーは異彩を放っている。あの確信的な適当さに何度目といえど笑ってしまう。


・こちらも知る人ぞ知る南アフリカの暴れん坊サイケSuckによるカバーもブチ切れた演奏のまま歌詞が怪しくて素晴らしい。



他ヒットしやすかった代表曲

In the Court of the Crimson King

・宮殿カバーといえばショーンレノンとレスクレイプールのバンドかな。


・フィンランドのEläkeläiset(エラケライセット)によるHumppaというトラディショナル舞曲アレンジ


Larks' Tongues in Aspic

・戦慄ファーストのタンゴアレンジ(Edgardo Acuña)


 戦慄2はドリムシを始め色々カバーされてるけど面白いのはそんななかったかな。スウェーデンのMyrbeinとかチェコのAku Akuとかもカバーしてる。


I Talk to the Wind

・I Talk to the Windのカバーで真っ先に思い浮かぶのはOpus III。この頃のアーシーな?プログレッシブハウス特有の何処へ向かってるのかわからなさ全開なMVも傑作。


・ポラリスのカバーも素晴らしい。


・カリンバとアコーディオン、バンジョー等を電子音響で調理、アメリカの暗部を思わせるディープブルース調に仕上げた逸品。(Ralph White & Steve Marsh)


・ジャケの如くズブズブなシューゲアレンジ(Boy Kingdom)


・中村中のカバーは突き抜けるように澄んだ声とマッチしていて良かった。


Matte Kudasai

 Matte Kudasaiは普通に良い曲としてしっとりとしたジャズボーカルになっているものが多かった。安定して聴けるものが多いがやはり戦慄2コピー系同様に面白味には欠ける。

・そんな中で良かったのはこちら。DCのパーカッショ二スト兼ビブラフォン奏者Lex O'Brien率いるバンドComplexblueによるカバー。


・もう一つ。こっちはもっとディープなコンテンポラリージャズ。若干ボーカルが硬い気はするが思い思いに泳ぎまわる演奏は見事。Tubaというのがシンガーの名前なのかバンド名なのかは不明だが、トルコのピアニストAydın Esenによるアレンジ&プロデュースらしい。


・これは問題作。序盤からやや怪しい気はしたけど後半のメロディフェイクが据わらなすぎで凄まじい。そしてやけに耳に残る…


その他

Epitaph

 エピタフはザ・ピーナッツ、西城秀樹など日本人のカバーも知られているけどいずれもSpotifyでは見つからず。なかなか検索でも見つけにくかったりする。

・冒頭、悪趣味なハードロックかと思いきや湿度の高いドラムとゴスゴスなボーカルが入ってきてテンション上がる。「Confusion〜」のとこそんなフェイクしなくても…(Love Like Blood)


・In the Woods...のカバーはオルガンのフィルターがうるさい。


In the Wake of Poseidon

・他の曲でうるさいと言えばこのポセイドン。せっかくしっかりカバーしてるのにずっと接触不良ノイズが鳴ってる。(La Maschera di Cera)


Three of a Perfect Pair

・BTBAMのToaPPは割とストレートながらオリジナルにないメタリックなタッチも加わり完成度高い。もともと好きな曲なので一押し。このバンドがこの曲をチョイスするってのも流石。


・サンフランシスコのプログレッシブブルーグラス(?)バンド、Front Countryによるカバー



カバーアルバム

 カバーアルバム、特にクリムゾン楽曲のみで固められている場合は結構気合い入ってるものが多い。コンピレーションものも含め曲のバリエーションも増えるので楽しく聴ける。

・Salute to King Crimson

 米Purple Pyramidより。冒頭のControlled BleedingやChromeら異色のラインナップに加えDavid CrossやBrand X(なぜか東西に分かれて2テイク。プロデュースがそれぞれJohn GoodsallとPercy Jonesになっているのでそこの違いか。)など本職の人々、Daevid Allen擁するサイケデリックコレクティブSpirits Burningなど、プログレからインダストリアル、そしてサイケ/スペースロックまでの間の名状しがたい空気感でクリムゾンを表現する一枚。Discogsにあるデータだとジャケ違いでタイトルも『Schizoid Dimension』となっていて、Spotifyではもう一つ、Big Eye Recordsというところから『A Tribute to King Crimson』として出てる。こちらは『Schizoid Dimension』と同じ絵を元にしたジャケ。この辺の事情は不明。


・Caballero Reynaldo「In the Lounge of the Naldo King」

 モンド・ラウンジ風アレンジアルバム。ウェットン期と80年代が1曲ずつなのに対してスラックから4曲やってるのが面白い。戦慄は1, 2のマッシュアップアレンジか。


・White Knight Instrumental

 膨大なアーティストの楽曲をMIDI音源でカバーし続けるプロダクション。元はゲーム音楽のカバー音源製作だったっぽい?ののロック/ポップス部門か。キングクリムゾン楽曲をカバーしたアルバムがある。製作時期の問題か、他のアーティストだともうちょい良い音源(この辺明るくないので不明)を使っているのに比べKCカバー集では全編GM音源の打ちっぱなしが聴ける。人気曲以外にVROOMやCirkus、One TimeなどGM音源映えするチョイスが目に留まる。狙ってやってるのか?ドラムパートなしのVROOMが悪夢的なDOSゲーみたいでGOOD。中間部のクリーントーンのとこ、想像通りの音がしてブチ上がった。


・Médéric Collignon「À la recherche du roi frippé」

 Louis Sclavisのバンドでとんでもない音と声を出してたのが印象的だったコルネット奏者による、かなりパンチの利いたKCカバー集。戦慄3やDangerous Curvesという選曲も凄いが、Frame by Frameのシーケンスフレーズを旧版と90年代以降どちらもカバーするという拘りように唸る(しかも管楽器で…本当に無茶しよる)。Youtubeにあるライブ映像がどれも凄い。


・Superdog「SuPerDoG」

 フランスのブラスジャズカルテット。トランペット、トロンボーン、バリトンサックス、ドラムという変わった編成ならではの解体~再構築感と選曲も面白い。


まとめプレイリスト

 ここに載せたの以外も全部突っ込みました。だいたい見つけた順なので同じ曲ばかり続きます。探せばまだまだあるはずだけどひとまずここまで…

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