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4章|教育・研究における生成AI活用のための政策的枠組みに向けて|UNESCOガイド抄訳

4.1     インクルージョン、公平性、言語的・文化的多様性を促進する

4.2    人間の主体性を守る

4.3     教育用生成AIシステムの監視と検証

4.4     学習者向けに生成AI関連スキルを含むAIコンピテンシーを開発する

4.4 学習者向けに生成AI関連スキルを含むAIコンピテンシーを開発する
学習者のAIコンピテンシーの育成は、教育やそれ以外でのAIの安全かつ倫理的で有意義な利用の鍵となる。しかし、ユネスコのデータによれば、2022年初頭の時点で、政府お墨付きのAIカリキュラムを学校で開発・実施している、あるいは開発過程にある国は、わずか15カ国ほどであった(UNESCO, 2022)。

生成AIは、すべての人がAIの人間的側面と技術的側面の両方において適切なレベルのリテラシーを獲得し、生成AIの具体的な影響だけでなく、それがどのように機能するかを大まかに理解することの必要性をさらに強くした。そのために今、以下の5つの行動が緊急に求められている。
●    政府公認のAIカリキュラムを、学校教育、技術・職業教育、生涯学習において提供する。AIカリキュラムは、AIが私たちの生活に与える影響(AIが提起する倫理的問題を含む)、アルゴリズムやデータに関する年齢に応じた理解、生成AIアプリケーションを含むAIツールの適切かつ創造的な使用のためのスキルをカバーすべきである
●    高等教育機関や研究機関を支援し、地域のAI人材を育成するプログラムを強化する;
●    高度なAIの能力開発における男女平等を推進し、ジェンダーバランスの取れた専門家を育成する;
●    最新の生成AIオートメーションによって引き起こされる国内および世界的な雇用シフトのセクター間予測を策定し、将来的な需要のシフトに基づき、あらゆるレベルの教育および生涯学習システムにおいて、将来を見据えたスキルを強化する。
●    新しい技能を習得し、新しい環境に適応する必要がある高齢の労働者や市民のために、特別なプログラムを提供する。

4.4     教員や研究者がGenAIを適切に活用できる能力を構築する。

 政府による教育へのAIの活用に関する2023年の調査データ(UNESCO, 2023c)によると、教師のためのAIに関するフレームワークやトレーニングプログラムを開発した、または開発中であると報告したのは7カ国(中国、フィンランド、グルジア、カタール、スペイン、タイ、トルコ)のみであった。シンガポールの教育省だけが、教育と学習におけるChatGPTの利用を中心としたオンライン・リポジトリの構築を報告している。このことは、ほとんどの国の教師が、教育におけるAIの利用、特に生成AIの利用について、十分に体系化されたトレーニングを受けることができないことを示している。

4.5 教師のトレーニング

教師が生成AIを責任を持って効果的に活用できるよう準備するために、各国は以下の4つの行動をとる必要がある:
●   研究者や教師が広く利用可能な生成AIツールを使いこなし、新たな領域特化型AIアプリケーションの設計を導くために、ローカルテストに基づくガイダンスを策定または調整する。
● 教師と研究者の権利と、生成AIを使用する際の実践の価値を保護する。より具体的には、高次の思考を促進し、人間の相互作用を組織化し、人間の価値を育むという教師のユニークな役割を分析する。
教師が生成AIシステムを理解し、効果的かつ倫理的に使用するために必要な価値志向、知識、スキルを定義する。教師が教室や自身の専門能力開発において学習を促進するために、生成AIベースのツールを具体的に作成できるようにする。
● 教師がAIを理解し、教育や学習、専門的な学習のために利用するために必要なコンピテンシーをダイナミックに見直し、AIに関する新たな価値観、理解、スキルをコンピテンシーフレームワークやFD研修プログラムに統合する。

4.6     複数の意見と複数のアイデアの表現を促進する

4.7     地域ローカルなアプリケーション・モデルをテストし、累積的なエビデンス・ベースを構築する。(北半球モデルへの警鐘)

4.8     セクター間および学際的な方法で長期的な影響を検討する。


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