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日本人はアアルト好き。〜artek tokyo storeがオープン

東京ステーションギャラリーでの「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」展も記憶に新しい2019年4月27日(土)、東京・表参道にアルテックにとって日本初の直営店となるArtekTokyo Storeがオープン。

ミラノデザインウィーク2019でも発表されたフィンランドと日本の国交樹立100周年を記念し両国の伝統とモダンを融合した特別コレクション「FIN/JPN フレンドシップコレクション」をはじめとする商品が、やわらかなイメージに包まれた店内を彩る。

●Stool 60 Aizome
徳島の藍師・染師であるBUAISOU(ブアイソウ)と製作したもので、藍染めラッカー塗装100脚と塗装無し10脚を販売する。

●皆川明「ああるとのカケラ」(書籍)
アアルト夫妻がデザインに携わった建築・プロダクト、部品などから皆川明さんがイメージした断片をドローイングで表現した一冊。

●Kirsikankukka(キルシカンクッカ)
1933年アイノ・アアルトがデザインしたKirsikankukka(フィンランド語で『桜の花』)スカーフのデザインを復刻。京都の着物工場で生産されたファブリックと風呂敷になって登場だ。

また、ArtekTokyo Store開店記念として「ドムス チェア オンネア」が50脚限定で発売。onneaはフィンランド語で『おめでとう』の意で、スウェーデンのタンショーレザーを用いデザイナー熊野旦さんがコーディネートした作品。

加えて、これから発売になる製品の発表もあった。

●Kiulu Bench/Koichi Futatsumata (2019冬発売予定)
Kiuluはフィンランド語で『桶』の意味。二俣公一さんが、フィンランドのサウナと日本の銭湯の融合をイメージしてデザインした。材はバーチで、桶とテーブルを一体化させている。

●ColoRing/Jo Nagasaka (2019秋発売予定)
長坂常さんが、木目を浮き上がらせる「浮造り(うづくり)」と津軽塗を掛け合わせた日本の伝統技法「カラリン」を使い、Teo Trokkey 901、Bench 153B、Stool 60といったアアルトのスタンダートコレクションの仕上げに応用した作品。

●Secrets of Finland/COMPANY
フィンランドのデザイングループCOMPANYがフィンランドを代表して渡せるモノとして考案したシリーズ。キャンドルホルダーや花瓶などをラインナップする。


●「アルテックのやり方をサポート」〜vitra CEO Nora Fehlbaumさん

Noraさん(写真左)は、1980年初めて日本に訪れたときの写真(下)を紹介しながら、日本には古くから熱狂的なサポーターがいること、世界的に路面店が少なくなっている中で日本にはきちんと存在していることを踏まえ、日本に直営店をオープンすることにしたという。

vitraがartekと組んだ理由として、「5文字でフォントが似ている」「クラシックとコンテンポラリーの両方を踏まえている」といった親和性を挙げたが、直接のきっかけは、2013年当時のオーナーがアアルトの熱心なファンであり、創業者の叔父がかつてvitraに宛てた手紙のコピーを同封してコンタクトをとったことだという。
以来vitraは、「artekのオリジナルのやり方を支えてきた」と語った。

●「欠陥すら愛する日本人と北欧人の共有感覚」〜artek CEO Marianne Goeblさん

フィンランドでアートを通じ日々の生活を豊かにしたいとの思いで立ち上がったartekは、家具を売ることを通じて人々にモダンな生活を啓蒙。Marianneさんは、「常に先進的な作品を発表する傍ら、新たなアートを展示するなどして、人々に発見、インスピレーション、学びを与え、それは今もつづいている」と言う。

フィンランドはもちろん、世界中からやってくる人に対してなされてきたそうした活動は、artek tokyo storeでも活かされ、一つの文化の発信基地となるだろうと述べた。

日本では、白木屋の北欧展で初上陸していた。以来、小さなモノ、シンプルで控えめな細工を愛玩し、あるいは欠陥すらも愛するといった情緒の側面でフィンランド人と日本人は共有しているという。
「これからも何度となく足を運んでいただくこととなるが」と言っていたので、デザインやアートのイベントも企画されることだろう。

●「デザイン好きの方にインスピレーションを与えられる場に」〜Vitra Japan 代表取締役社長 片居木亮さん


vitra japanは、2008年12月にスイスvitraの100%子会社として生まれ、以来10年以上のあいだ、販売代理店を通じてファンを獲得。その間、vitra japanは物流拠点を整備。2015年8月にはartek japanと合併し、いずれも組み立てから自社物流まで、自分たちで手で出荷していることに誇りを持っている。


片居さんは、「フィンランドに次ぐ最大マーケットを作るのが目標。ショップとしての役割と共に、暮らしのヒントを与える役割を持たせたい。そのためにはvitraとartekその他取り揃え、北欧の伝統を伝えることでデザイン好きの方にインスピレーションを与えたい」と語った。

●「家路につくぬくもりを表現」〜設計事務所 DAIKEI MILLS 中村圭佑さん、熊谷晃希さん


artek tokyo storeの店舗設計にあたり、中村さんは、フィンランドのエッセンスを
イメージスケッチにした。そこで表現されたのは、大自然のぬくもり。

コトバにすると、「湖の畔を歩いて家路につく」というもの。
ルーバーから覗く光が放つ影や、1階から地下に至る階段まわりにそのあたりが表現されている。

しかしなによりインスパイアされたのは、実際にヘルシンキを訪れartekのスタッフに触れたとき。

「誰にとっても家に帰ってきたような暖かみがある。その精神的な部分を打ち出したかった」

建物の外壁と呼応するように、地下のドライエリアには1500個のレンガを自ら組み上げた。こうすることで、あとから適宜スタッフ自らで組み直して模様替えできる趣向だ。

表参道から一本入り、緩やかに坂を上がるとひっそり現れるartek tokyo store。家具のみならずファブリックや小物など、眺めるだけで愉しいショップにしばし佇み連休前の追い込みでお疲の脳を活性化してみてはいかが?

場所:東京都渋谷区神宮前5-9-20 1階および地下1階
広さ:約200㎡
営業時間:11時から20時
定休日:火曜
03-6427-6613
#artektokyo


いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。