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DADA TOKYO(ダーダ東京)〜リビングからキッチン方向へのベクトル

今年創立50周年を迎えたアルフレックスジャパン。当初より家具というよりもライフスタイルを売るブランドとして歩んできたが、ついに2018年12月17日、キッチンブランドDada(ダーダ)の旗艦店をMOLTENI&C TOKYO(モルテーニ東京)の隣にオープンさせた。

発表会では代表取締役社長の保科卓さんが登壇し、このたびキッチンブランドのDada(ダーダ)を加えることでトータルなライフスタイルを扱えることを喜ぶと同時に、給排水・排気を伴うことで床から天井まで全てをはじめて扱うことになり、身の引き締まる思いだと語った。

Dadaは1926年創業の老舗キッチンブランドである。1979年に総合家具ブランドのMolteni&C(モルテーニ)のファミリーに加わり、「モルテーニグループ」という持ち株傘下のオペレーティングカンパニーとしてホーム=Moltani&C、キッチン=Dadaが配置された組織となっている。

モルテーニファミリーを代表して3代目のアンドレア・モルテーニさんが登壇。祖父の代に取得したダーダのコア・バリューについて語った。

グローバルな価値を有するデザイン、そして、徹底したクォリティの追究を大切にしてきたこと。世界に幅広く展開しながらも、あくまでイタリアの会社でありつづけるために最初から最後までイタリアの4カ所の工場で製作していることについてアピールしていた。60%がコントラクト、40%がホームという割合だそうだ。

スライドでは美しいイタリアの豪邸を使って撮影されたイメージカットが映る。ベネティアのCrio Scape Rose Moretti の宮殿だ。キッチンはほかの部屋と比べて機能的かつ実用的でなければならないという要素があるが、建築との調和においてアーティスティックでなければならないだろう。

2016年からモルテーニグループ全般のクリエイティブディレクターを務めるのは、ベルギーの建築家ヴィンセント・ヴァン・ドュイセン。建築とインテリアを一体として考え、素材を活かしたシンプルかつディテールまで吟味された空間作りで、すべての人に温かみを感じさせるものとなっている。

イタリアのフラグシップショップでは、イタリア的な世界観を表現しているというが、ダーダ東京でもキッチンはリビングの要素であり、家の心臓部であること、そしてひとり籠もる場所ではなく、みんなで使う場所であるという点では同じ。さらにこれからのダーダでは、モルテーニのDNAにある住まい方、暮らし方や素材、団らんを中心に据えながら、もっと軽やかで透明性があり、モダンかつ新鮮な味わいを加えるなど、あえて新しい課題に挑戦したいようだった。

ダーダ東京がオープンしたのは、2018年12月17日。チェダーストーン、ウォールナット、ブラスターフィニッシュ、トラヴァータイン・タイルがふんだんに使われ、360㎡のフロアに展開する6のダイニングキッチンは、すべて実際に調理・水栓等が稼働。ダーダと暮らす生活を体験できる仕掛けとなっている。

空間として体感すると、美術館のショーケースのように収容アイテムを美しく彩る力と、ハンドル等そぎ落とされていながらも触れて分かる使いやすさ抜群の機能美を兼ね備えたラグジュアリー提案は、ホームのモルテーニと同じ価値観に基づくもので、両ブランド相まって完全に統一された住空間を構成できる強みがいかに素晴らしく官能的かがわかる。

個性的な各シリーズ

●PRIME(プライム)
2018年ユーロクッチーネで発表されたエントリーモデル。全ての戸口に45°のテーパーが掛けられる。視覚的に蝶番を消し去り、同時に発表されたWING SYSTEMとともに、10mmのパネルが見た目3mmといったシンプルながらも印象的な空間を仕立てることができる。

●HI-LINE 6(ハイラインシックス)
2005年にフェルッチョ・ラヴィアーニがデザインした、もっとも人気のあるシリーズ。ハンドルまで削ぎ落とされたミニマムデザインが特徴で、幅広い壁面収納力を持ち特許取得の折り畳みのスライドドアシステムOPERATING COLUMNが人気だ。2018年にはアルミ製フレームで縁取ったHI-LINE 6 FRAME DOORを追加した。

●VVD(ヴィーヴィーディー)
ヴィンセント・ヴァン・ドュイセンが2016年にデザインしたフラグシップモデル。建築的なコントラストが映える構成で、天然石、木質、金属など吟味された素材を使い、ラグジュアリー感満載のシステムキッチンである。

●VELA(ヴェラ)
ダンテ・ボヌチェッリによるデザイン。極限まで薄い13mmの歪まぬパネルが特徴。オプションのVELA SLIDING SNACK TABLEは740mmから1160mmで可変する電動昇降テーブルで、ダイニングからパーティーシーンに至るまで、さまざまな使い方が楽しめる。

●TRIM(トリム)
ダンテ・ボヌチェッリがデザインを手がけたラグジュアリーモデル。収納力の高い壁面収納システムが特徴で、美しいバックパネルのガラスが空間を豊かに見せる。リビングとの一体感が重視されたラインといえる。

●ARMANI DADA
2008年アルマーニカーザとパートナーシップを結び開発した超富裕層ブランドで、デザインはジョルジオ・アルマーニ。モルテーニ東京には、本シリーズ中でももっとも高級なSLIDE CHECKOO BRIDGEを導入した。価格はなんと6800万円。アプライアンスをとにかく隠す仕組みになっており、極厚天板が動くさまに驚きの声があがっていた。お客様ひとりひとりのためにアルマーニがデザインし、ハンドメイドで製作に6〜8ヶ月、時価だという。

以上の6モデルがダーダ東京に展示されている。いずれもLDK一体として素材と繊細さを活かしたゴージャスなトータルコーディネートと、多人数が集まるシーンを想定できる機能性に刺さる提案と感じた。


いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。