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中身は最新鋭。でもふるき佳き時間を意識させるLINN series3

スコットランドのオーディオブランドLINNのseries3。

リリースでは「史上最高音質のワイヤレススピーカー」というキャッチが付けられている。

いま巷を賑わしているAIスピーカーとしての機能も、実はこのSeries3は搭載している。コレ1本だけのモノラル再生も可能だ。(個人的にはそれがいちばん驚いたんだが)

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インハウスデザイン

リンはいつもデザインはインハウス。今回のSeries3もそのようで、代表のギラードさんがとくにこだわったというグリルはシルバー(クローム)とゴールドの二色をラインナップしている。

キャビネットは天然の鉱石を粉砕して成型したというが、マットな仕上げとティアドロップシェイプもあわせると、花瓶のように華やか。不遜に見えるだろうが正直に言うと、もしバルミューダがスピーカーを作ったらこんなデザインなるのかな、アリかも・・・と思った。

ティアドロップないしエッグシェルスタイルのスピーカーはKEFやECLIPSEなどこれまでもいくつか見られたが、きまって音の回折やらタイムドメインがどうとか機能的な「説明」が前に出る。

ところがseries3はアタマの部分がスパッと切られているのを根拠に、「ワイングラスかテイスティンググラスか」(リリース)と「感性」に訴える。モバイル用途でもないのに「特別な触り心地」を謳っているのだ。

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そして天面のタッチパネル。
このサークルデザインは、先に発売されたSelekt DSMのトップに配置されたダイヤルと共通する。
もしかすると今後登場するLINN製品すべてのアイコンとなるかもしれない。

そう考えたら、このスピードメーターのようなデザインの意図は? と、とても気になってくる。
デジタル表記なのになんだかレトロな印象を受けるのだ。
80年代、クルマのデジタルタコメーターの出始めはこんな感じだったかなと。

昭和から見た未来というか、永遠のSFデザインというか。時計の針のようなアナログ感覚もある。映画もそうだが、音楽は時間の芸術であることを意識させる。レコードもテープも、生きていることを視覚でさせられるから愛着が沸くのだろう。

このLINNサークルの周りには、6つの「ピン」と呼ばれるボタンが配置されている。Selekt DSMではジョグダイヤルだったが、スピーカーまで足を運んで操作することも少なかろうということだろう、タッチパネルだ。

操作の大半はスマートデバイスで行う。従来のリンのコンポーネントと異なるのはリモコンがないことだろう。

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脱いだら凄いんです

しかし中身は基本的にSelekt DSMと同等のものが入っているという。年末の段階ではリンジャパンのスタッフも中身は未見と言っていたが、少なくとも2ch分のパワーアンプ(Sekektと同じ100W×2クラスD)に有線無線の信号を扱うDAC(おそらくSelektのスタンダードDAC同等)プリアンプ、ネットワークプレーヤー(192kHz/24ビットまで)、電源、といったあたりのDSMがフルで内蔵されているはずである。

初見では「写真のイメージよりもずっとおっきくて立派」(幅約25cm、高さ約30cm)。だが、それだけのものが詰め込まれているのを思うと、むしろよくここまで詰め込んだなと感じさせる。

EXAKT LINKは1本でも動作する301と、ステレオ時に対となる302(パートナースピーカーと称する)を接続する。また、この302はEXAKT端子凸凹を装備しており、通常のEXAKTスピーカーとしてサラウンドなどにも対応する。Space Optimisation機能にも標準対応。

DSお得意のネットワーク再生、そして、HDMI(ARC)。有線LANのほか、Wi-Fiやブルートゥースでも接続可能。対応フォーマットもFlac、ALAC、WAV、AIFFなどのほか、日本のテレビ放送音声フォーマットAACもOKだ。Spotify Connect、Qobuz、TIDAL、AirPlayのほか、Amazon music HDへの対応もアナウンスされている。もちろん、Roonなど各種DSMシリーズと同様の各種サービスにも対応する。

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問答無用、アクティブスピーカーの時代

果たしてそのサウンドだが、巷のいわゆるAIスピーカーの類いとは全くレベルが違う。
中身がSelekt同等だし値段も値段だから当たり前なのだが、30cmそこそこのブックシェルフスピーカーとは思えないほど朗々と鳴る。
リンジャパンもお気に入りだという、Selektから採用の新しいクラスDアンプ。そのパワフルなイメージもこれからのLINNサウンドを特徴付けるだろう。
「何か問題でも?」とでも言いたげなぐらい立派なハイエンドオーディオシステムだ。
やっぱり時代はパッシブじゃなくてデジタルクロスオーバー&アクティブだと思わせる説得力がある。

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・・・ところで、ペアにするとき同色に揃えたいところだが、グリルだけあとで変更できるのだろうか?


いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。