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令和一発目を飾るロングセラー。カンディハウスのチェア「KOTAN」

4月17日に開催されたカンディハウスの新作「KOTAN(コタン)」の発表会に伺った。

KOTANチェア(45,000円+税〜)とスツール(34,000円+税〜)は、今年1月のケルン国際家具見本市でデビューし、この日に発表。発売は5月を予定している。

丸い座に、丸棒の脚、アーム、背。永らくカンディハウスの顔でありベストセラーでもある丸座のRUNT OM(ルントオム)を継ぎ、令和にはじまるロングライフを目指した作品だ。

▲ルントオム

デザイナーは、深澤直人さん。カンディハウスとのコラボは、2015年のKAMUY(カムイ)、2018年のYUKAR(ユカラ)に次ぐ3作目となった。

▲ユカラ

自分の中にデジャヴがあり、すっと出たアイデアがそのまま無理なく形になった。それが量産してもらえるのは感慨深い。コストパフォーマンスよく、普通に愛されるシンプルな椅子を目指した」とは、日本民藝館の館長でもある深澤さんならでは。

「調べた結果、ありそうでなかったデザイン。しっかり座れて心地よく、しかも左右に回れて自由さもある。カラダが拒否しない」(深澤さん)

座ってみると、クッションも心地いい。「アウトラインを出しつつも角を出さないようにし、座り心地に配慮した」という張りは、腰をそっと支えやはりちょっと高級感すらある。

椅子は座るだけではなく、ハンドキャリーしたり手前に引いたりと、ハンドリングも使い勝手の重要な要素だが、そのあたりもひじょうにバランスが良く、無理がない。

ルントオム同様使い場所を限定しないので、単体のほか、ダイニングやカフェ、コントラクトでも組める。ただコントラクトベースの廉価品というイメージがまったくないのは、シンプルでありながらも仔細に亘る作り込みの成果だろう。

「シンプルなデザイン」・・・いえば一言だが、製品に仕立てるのは至難だったという。

座面裏側のXのアーチに注目が集まる中、実はもっとも困難を極めたのは、デザイン上もひとつのアクセントになっている、背とアームの接合部。

背もたれを支えると共に、立ち上がるときには両手を掛けて体重がのしかかる割には、構造上懐に余裕がなく、強度を出すのに苦労したという。

ただ差し込むだけではダメで、いちど掘り込んでから継いでいる云々というのだが・・・このあたりは、6月の旭川デザインウイークに際して開催される同社のファクトリーツアーで見学できるようお願いしたい。

今回クレジットに「NAOTO FUKASAWA WITH HIROYUKI TSUCHIDA」とある。はじめて深澤直人さんの一番弟子である土田博之さんの名が明記された。

これまでもカンディハウスの作品を陰で支えた立役者とのことで、深澤さんのアウトラインを受けて脚部の角度や曲がり具合、座り心地などを細かく図面に落としたという。

材は今回北海道タモ材のみだが、カラーはNF/WNF/DBR/GY/DGY/BLの6色展開で、座面の張り地は7グレードから選べる。

個人的にもっとも目を惹いたのはグレイ

価格もルントオムとほぼ同じリーズナブルに抑えられ、白いキッチンなど抵抗なく取り込んでしまう若いファミリー層が手にし、末長く愛でる現代の民藝品となることを期待したい。


いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。