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覚えたことを、全て忘れることが必要じゃ

今回の講座で一番心に残ったのは、マスター・ヨーダのこの言葉である。
私はプロダクトデザインを学生時代も含めると17年もやってきたのだが、世の中の変化を目の当たりにし、危機感を感じていた。そんな折にたまたま会社から行ってこいと言われたのが「Xデザイン学校大阪分校」である。ここでUXデザインの基礎が学べると聞いて参加することにした。

ヨーダの訓え

今回いくつかのワークショップがあったのだが、アイスブレイク的にやった「マシュマロチャレンジ」でヨーダの言葉の意味を思い知る。マシュマロチャレンジはネタバレ厳禁なので詳しくは説明しないが、発想力とチーム力を試すゲームとでも言おう。さらに「チーム内でのコミュニケーションは口頭のみ」というルールも課せられた。私のチームは最初のチャレンジで失敗し最下位という結果だった。2回目のチャレンジで挽回しようとチームで再び討議しているとき、無意識に手を使ったコミュニケーションをしてしまった。ルール違反である。先生は怒った、というかあきれていた。学生の頃から「考えるときは手を使え」と言われてきたし、プロのデザイナーになった今でも考えるときはスケッチしたり、発砲材を削ったりして考えることが多い。そのせいか勝手に手が動いていたのである。はっとした。「覚えたことを、すべて忘れることが必要じゃ」手を動かして考えることが悪いわけではないが、瞬発的に考えを言語化して討議する癖をつけることが必要で、嫌でも議論するために設けられたルールだったに違いない。これまでの成功体験に固執するのではなく、新たな体験を積んでいかなければ成長はない。凝り固まった体質から変えるのだ。

もはや現実は非現実

次に最悪の旅から新サービスを発想するワークショップを行った。私のチームのお題は「生死をさまよう、魔王を倒す旅」だ。まさに◯ラクエである。まずはこの旅のリスクポイントや設定背景を議論し、現状を把握した上でビジネスチャンスの在処や、どんなソリューションを提供できるかを議論した。会社も専門分野も多様なメンバーが集まったこともあり、多角的に意見を交わすことができた。結論が出てもなお、サービスに落とし穴はないか、設定に矛盾がないかを深く議論した。結果、現実離れした内容ではあるが比較的よい提案ができたと思う。
ここで想うのは、現実ももはや現実離れしているということだ。パラダイムシフトの真っ只中にいる私たちは、刻々と変わっていく社会環境や潜在ニーズに対して商品やサービスを提供していかなければならならい。この一見ファンタジーな魔王討伐ソリューションも、現実に落とし込めそうな要素やコンセプトが確実にあった。当然が当然ではなくなる時代において、リアリティから距離を置いて考えることは有効かもしれない。ぶっ飛んだ発想で良いのだ。

一寸先が闇となるか光となるかは、今まで自分が培ったものを捨てる勇気があるかないか次第。または固定概念に気付けるか気づけないかによると思う。ヨーダの言葉を胸にとめておこう。

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