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最期の写真になったとしても(後編)

2022年に撮らせていただいたたくさんの写真。
それらを見返して、
繋がる出来事がひとつありました。

それは、今年最後の月に撮影した家族写真でのこと。


前編はこちらから⬇︎
https://note.com/g0mash1o/n/n17f035d1f6a2



内容は、
ご依頼をくれたご夫婦とこどもたちの4人家族、
そして、片側のご両親を合わせて6人での家族写真。


わたしは撮影前に必ず一度依頼してくれた方と会うようにしていますが、
だいたいがご依頼をいただいた方と対面になります。

この家族写真の打ち合わせのときは、珍しく
撮影対象の6人全員とお会いすることに。

その打ち合わせで
こどもたちの祖父母にあたるご両親とも
今回の写真に対してのお話しを聴くことができました。


お二人は、毎年年賀状を出していますが、
この撮影を機に、年賀状を送ることをやめようと思っていると。
今回、自分たちの映った写真を年賀状に使用して、
最後の挨拶にしようか、と考えているということでした。


まだそれほど歳を召しているわけではありませんでしたが、
話の中で『終活』というワードも出てきましたし、
年を重ねて、いろいろと考えるところがあるんだろうなというのが
そのときの印象。



しかし、ご時世もあって
ご家族みんなのタイミングがなかなか合わず、
撮影時期が大幅にずれたため、
今回の撮影時には
年賀状はすでに写真なしで作り終えたとのことでした。


いざ、撮影が始まると、
家族の中で一番小さな男の子のペースに合わせて
みんなで遊んでもらい
その様子を撮っていましたが、
途中、ご両親二人が少しその場から離れる瞬間がありました。

撮影場所が高台であったため、
空と、住んでいる地域が吹き抜けるようによく見える場所で
いい景色だと眺める二人。

すごく絵になると、すぐに一枚シャッターを押したあと、
近づいてお二人の写真を撮らないかと提案しました。

お二人も撮影に了承してくれ、
他の家族に見守られながらの撮影は
終始恥ずかしそうではありましたが、
気持ちのよい景色を背景に、とてもいい表情の写真が撮れたので、
その場で撮影した写真を家族みんなに見てもらいました。

すると、
お二人からも、他の家族からも良い反応が。

これが撮れたから一旦じぶんたちはもう大丈夫、
と写真に映るのをやめる発言もありましたが、
そのあとも嫌がることはなく撮影に入ってくれ、
最後には孫たちと4人で撮影も。



無事に撮影を終え、駐車場へ向かう道で
ご両親から



「今年はもう(年賀状)書いたけど、
孫と撮った写真にかえて、
2人の写真は来年使おうか。
それか、また撮ってもらおうか」


なんて言葉が聞かれました。



家族写真を撮る機会が増え、
こどもの立場から

「両親の写真を撮ってほしい」
「こんなときじゃないと本当に嫌がるから」

と相談を受けることも多いのが現状。

自分の母はもちろん、
わたし自身、看護師の仕事をしていたときに
自分が老いていく姿を見るのが嫌だから写真は撮りたくない、
と話す方をたくさんみてきたので、
少なからず今回のお二人にもその気持ちがあったことは
気づいていないわけではありませんでした。


ただ、
自分たちが納得できる、
楽しかった、撮ってよかった、
そう思ってもらえる瞬間を提供できたら、
その気持ちは和らげられるかもしれない。


今回の撮影で強く感じたことです。


それに
「撮らなければよかった」
なんて後悔より
「撮ってよかった」
の方が遥かに大きいんです。


「自分が思っているよりずっといい顔してる」

好きなひと、安心するひとたちに向ける顔は
こどもも、大人も同じ。
いくつになっても素敵な顔です。


好きなことしているときの顔は、
いくつになっても少年少女のように素敵です。


目の前に鏡なんて普通はないから
自分じゃ気づかないことばかりだけど
わたしはこの数年、
たくさんカメラを覗いて、
たくさんのその場面に遭遇してきました。


それを気づくきっかけになれれば嬉しい。

その気持ちに少し傾くような
「撮ってよかった」
そう思ってもらえる写真を撮りたいなと。




2つの出来事が続き、
今年の初めに遺影の話を書いたこととも繋がって

今年最後には、
写真に対する考えを見つめるいい時間をもらったようでした。


ハレの日でも、普段の日でも
写真を撮る、ということは
最期にも繋がっているかもしれない

そうわたしは考えていきたいと思う。

誰にも予測できないから、
自分のことだけじゃなくて
誰かを撮るときも片隅に残しておきたい。

最期になってもいい写真はきっと
今、いいと思える写真だから。


最期の写真になったとしても、

撮っておいてよかった、そう思えるように。

撮ってもらってよかった、そう思ってもらえるように。



この気持ちを大事に、
これからも一枚一枚丁寧に
向き合っていかねばな、と思ったわけです。


来年もわたしができる範囲をひとつずつ、
丁寧にがんばりたいと思います。




2022年、
撮影させてくださった方々、
そのご縁に感謝いたします。

本当にありがとうございました。

2022.12.30  Shiori Hatakenaka

同じ瞬間がまたとないのはみんな一緒。


2019年に発覚した潰瘍性大腸炎とゆるく付き合っている、見た目はちきん・メンタルありんこHSP気質の元看護師です☺︎今は元より好きだった【言葉と写真】で活動してます。私の発信が誰かの励みになれば嬉しいです。みなさまのサポートは、今後の発信や活動に使わせていただきます。