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星の王子さま

けっこう前ですが箱根に旅行に行って
温泉やかまぼこを満喫しながら
コロナ禍と老朽化のため23年3月いっぱいで惜しまれつつ閉館となった「星の王子さまミュージアム」へ遊びに行きました




童話を創作してます、なんて言いながら、星の王子さまについてはなんとなくしか知らずに生きてきました
今回のミュージアムの訪問も、半ば付き合いでした

例えば役者仲間が星の王子さまの舞台や朗読劇をやっているのを観に行ったりして、なんとなく中身は知っているんですが
抽象的すぎて掴み所がない、というのがその時の率直な感想
銀河鉄道の夜とか、グリーンマイルのジョン・コフィみたいな感じ?  と、当時は思いましたね笑


これは、自分の感受性の欠陥としてひとつ自覚しているのがあって
"自分のペースで進められる"漫画やテキストでないと、理解が遅いんですよね
わたしがテレビやアニメが今一苦手な理由もこれじゃないかな、と思ってます
洋画はぎゃんぎゃんに観るんですけどね、不思議ですね


なので、ミュージアムの売店で見つけたこの漫画本を購入
これなら自分のペースでこの不可解なお話と向き合える!

ところが、ミュージアムでたっぷり「星の王子さま」の世界に浸ったことで、ちょっと恐ろしくなりまして、今まで読まずに積んでいました

"不思議でわけわからない話だねー"と鼻をほじっていたかつてのわたしや他の人たち全部が、作者の手のひらの上だったというか
"星の王子さま"に関しては、こうやってつらつら意見を書き連ねること自体が滑稽なんですね
「大人は無駄なことに夢中だね」
「分からないなんて、大人はへんてこだね」

ってことです

今風に言うなら、"あ、闇が深いな……"というやつかもしれません

ちょっと話が逸れますが、敢えて説明を極力省いた作品というものには、考察のし甲斐がありますよね
音楽なら、昔のサンホラ、谷山浩子、たま
ゲームなら最近は海外のホラーに多いですね。考察させる系。あとはゆめにっきとか、大勢に考察(?)され過ぎて、本来の醍醐味が損なわれていると思います
あと最近これ系ですごいな、と思ったのはVtuberの"鳩羽つぐ"ですね。

星の王子さまも、これ系だと思ってたんですよ
だけど中身はかなり恣意的で、作者の悲しみと苦しみでいっぱいでした
なんなら、他のどの作品をも差し置いて"雄弁"であると感じました

このお話はひとつの臨死体験であり、極限状態での自分自身の魂との対話でした

自分自身との対話はわたしもよくやるし、多くの人もやってるだろうけど

だから怖いです
これを書いて世に出した作者も怖いし、ついでに言えばその作者の結末も怖いし、読み手がどう感じるかも怖いし、時代が進んだ今の子供達そのものも怖い

"星の王子さま"にいちいち説明が必要な、今の世の中が怖いですね

そう思いながらおそるおそる漫画を読み進めましたが、常に神妙な涙が浮かぶようでした


まんが、とは言うものの、
このように左から右に読み進め、絵本にコマ割りとフキダシがついたようなものでした
せっかくなので大事にしたいしってことで、ハードカバーを慎重に開いて、毎日少しずつ読みました
漫画になったことで王子さまに表情がついてかわいいですね
また、翻訳者や漫画家による自己アピールも無く、淡々とあくまで客観的に漫画に仕上げているのがよかったです

で、さきほど後書きまですべて読み終えての感想ですが、
帰ってこられないかと思ってたけど大丈夫そうです
励まされました、つらい気持ちになった時に読みます、なんて当たり前の感想を持ってしまうとは、わたしも表現者としてまだまだですね笑

童話や絵本というのは、物語の中に教訓だったり作者の伝えたいことなどが盛り込まれるものですが
星の王子さまは独特で
これは、作者が生前に遺した
『完璧とは、それ以上に足すものが無い状態ではなく、それ以上に引くものが無い状態のこと』みたいな考え方
なので、教訓や作者のメッセージが至極シンプルな例え話となって登場してますね
まぁ浅く解釈すれば「大人になるとアホになるから、子供の純真さを失わないで」ってことなんでしょう

星の王子さまのことは知らなくても、↑の「完璧とは~」の言葉は強くわたしの胸に刻まれてて
シンプルさやシュルレアリスムと併せて、今後の創作活動でも大切にしていきたい感性です

なんか纏まらんですが、"星の王子さま"をきちんと読めた記念ということで、このへんで締めますね
それでは~


↑作者の奥さんは高飛車で八方美人だったらしい笑

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