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町へは出れないが、書を捨てよう<11巻>

野球が好きだった。

父も兄も巨人ファン。
小学校では一年間だけ野球部に入っていた。

しかし、根っからの運動オォンチな上、向上心の欠片もない僕はおざなりに部活をし、上・同・下級生問わず幅広く疎まれる存在となった。

小学生特有の体育会系的合法プチいじめも相まって、程なく部活には行かなくなった。

以来、野球という競技自体には人並み以上に興味を持ったことはない。
そのかわり、才能と努力を積み重ねた人としての野球選手は尊敬している。

中でも、僕がつい惹かれてしまうのが、主にセカンド〜ショートという、内野守備の要、いわゆる"職人"と呼ばれる選手である。

※以降、皆さんを敬称略するのは記憶の再生だったり愛情表現の一環のようなものなのでご勘弁を

僕が辛うじて見ていた記憶で言えば、巨人なら篠塚、仁志、小坂、川相、二岡そして故・木村拓也氏……そうか、俺もうキムタクより年上になったのか。。

また、球界随一と言われた二遊間のアライバコンビ(荒木・井端)や、西武の辻、石毛。

ホームランを量産する強打者でも、マウンドで大車輪の活躍をする投手でもなく、堅守・巧打で魅せる"いぶし銀"たちに心躍らせていたものだ。

そして、今回紹介するのが、そんないぶし銀の中でもとくに僕が惹かれたこの人の本です。

宮本慎也『洞察力』(ダイヤモンド社)

ダイヤモンド社からの新たな刺客。

宮本さん、いや、ここは敢えて宮本選手と書きましょう。ノムさんこと故・野村克也氏などに師事、選手生涯をヤクルトスワローズに捧げ、通算2000本安打、400犠打は名球会初。ゴールデングラブ賞多数、オリンピック日本代表キャプテン、選手会会長と、名実揃ったレジェンド選手。

決して野球選手としては恵まれていなかった体格を練習量でカバーし、プロ入り後も様々な指導者から学ぶことで、唯一無二のポジションで活躍し続けました。

そんな宮本選手が、野球を通して学んだことを70の項目に分けて語っているのが、この『洞察力』な訳です。

で、どんな本?

この本の内容は元々、経済雑誌の連載企画として、ビジネスパーソン向けに書かれたものです。

なので、特に野球の知識が無くても、自分ごととして応用が効く内容になっています。
もちろん、野球の知識があればもっとわかりやすく、面白いです。

自分で考えることを学ばなければ、変化していくことができない。

成長について語る項の中で、宮本選手の自主性という言葉について言及した部分からの抜粋。

新人や若手の頃は、覚えることが多く、身体や技術を磨くために型にはめられることが良くある。
しかし、ある程度経験を積んだ暁には、上から言われた事をやるだけでなく、自らの判断で(それは決して自分勝手ということではない)動く必要が必ず出てくる。

そうでなければ、成長はそこで止まってしまい、凡百のその他大勢になりさがってしまう。

変化する、というより、適応するという解釈の方が文脈に合っているかもしれません。
闇雲に変わるのでは無く、現状に甘んじる事なく、よりよく変化する。

そのためには、現状分析と一歩先を読むという行為を交互に繰り返す姿勢が大切だということなのではないでしょうか。

耳が痛い……。

でも、本を読み続け、記録するという行為を繰り返すことで、なんとか軌道修正できている……ような気がしている今日このごろ。
結果は半年後くらいにわかるでしょう。
(トレーニングの成果は半年後に出る、というのが僕の持論です)

次回は、深沢真太郎『「伝わらない」がなくなる 数学的に考える力をつける本』なり。

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