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増税に一喜一憂しないビジネスモデル! ざっくりわかる「サブスクリプション」

経済バラエティ『がっちりマンデー!!』(毎週日曜あさ7時30分~放送中/ TBS系)をもっと深く楽しめる、『がっちりスクール!!』

お金やビジネスについて、一緒に学んでいきましょう!

今週の内容は、番組がスタートした2004年の『儲かりマンデー!!』の時代から番組を15年率いる大松雅和(オーマツ)チーフディレクターが、ビジネス用語やトレンドキーワードについて私見を交えて"ざっくり"解説していくコラムです。『がっちりマンデー!!』では、毎週特定のテーマで経済やお金にまつわる内容を作り続けてきました。儲かり企業のトップにもたくさんお会いしてきた、その知見をおすそ分け。経済専門家ではない目線で、「役立つ」「活かせる」話を楽しく届けていきます

今回オーマツがみなさんと一緒に学びたいのは、「サブスクリプション(サブスク)」です。

最近、さまざまなメディアでこの言葉、聞くようになったと思いませんか? 

「サブスクリプション(subscription)」とは、ざっくり言うと「定額利用」のこと。毎月一定額の料金を払うことで、サービスを継続的に受けられたり商品を利用したりすることができます。

いま、サブスクはビジネス界の一大潮流。

Netflix (ネットフリックス)やHulu(フールー)のような映画やドラマ見放題の動画配信が火付け役となり、Spotify(スポティファイ)など聴き放題の音楽配信、 Microsoft(マイクロソフト)やAdobe(アドビシステムズ)などソフトウェア業界、Amazon(アマゾン)を筆頭としたECサイトなどなど、世界的にサブスクリプション型のビジネスモデルが取り入れられ成功を収めています。日本でもここ数年、様々な分野で導入する企業が増えています。

実はこのサブスク、今日(10月1日)からスタートした消費増税にも一喜一憂することなく「安定した経営」ができるビジネスモデル消費者にとっても、多種多様なニーズを最大限汲んでもらえる「顧客中心のビジネス」なんです!

◇ ◇ ◇

「体験としての豊かさ」を求めることに消費者が変化

まずは、なぜいまサブスクリプションなのか。

理由はおそらく、大きく2つ。「インターネットの普及」と 「所有から利用へという消費形態の変化」です。

インターネットによって、ニュース記事や動画、音楽、ゲームなどさまざまなコンテンツを無料で楽しめるようになりましたよね。それによって「利用するたびにお金を払う」という仕組みが、消費者にとっては"めんどくさい”ものになってきてしまったのです。

携帯電話の料金プランは、当然のように「データ定額」ですよね。無料動画を見るたびに通信料を払う、なんて面倒なことはもうできないと思います。

そして、インターネットとSNSの普及でもっとも変わったのは、情報流通量が爆発的に増えたこと。選択肢が無数に増えた結果、「どれを選べばいいかわからない」「選ぶのが面倒」と、膨大な情報の中から判断を下すことを不便に感じるようになってきました。

そんなわずらわしさから、「好きなものを好きなだけ利用したい」といった意識を消費者は抱くようになってきました。

そして、特に10代、20代の若い世代にその傾向が強いですが、多くの人のニーズが「所有」することから「利用」に移行しましたよね。持ってなくても、使えればいい。カーシェア、シェアオフィス、民泊……。物質的な豊かさを求めることから、「体験としての豊かさ」を求めることに変化してきた。

そんな世の中の流れに、ぴったり合っているのが、「サブスクリプション」なんです。サブスクにシフトしたことで成功につなげた日本の企業例を見ていきましょう。

物販→サービス業へと転換。お客さんも安心でラクになる!?

まずは、サブスクリプションを取り入れたことで、既存ビジネスを「物販業からサービス業」に変えたケース。

コンタクトレンズメーカー、メニコンが2001年に導入した会員制定額性サービス「メルスプラン」がそう。月会費を払えば使い放題。度数が変わる、コンタクトレンズが目に合わないなどのトラブルがあっても無料で何度も交換ができます。

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キーワードは、「顧客ファースト」。1990年代後半、当時拡大傾向だったコンタクトレンズ市場は販売店が乱立して激しい価格競争が展開されていました。消費者は安さを優先するようになり、誤ったレンズ選びや使用方法による目のトラブルが増えてしまいました。

コンタクトレンズユーザーに、安心して安全なコンタクトレンズを使用してもらうにはどのようにしたらいいか。結果、メニコンが行きついたのが、会員制定額制サービスだったのです。

定額料金システムは、入会金(3000円)とセットで最初の2カ月分を支払い、3カ月目からは月額費用だけを支払う設定。例えば、2週間交換レンズのもっとも低額のタイプなら、入会金と月額費用の2カ月分の7200円(3000円+2100円×2)を入会時に支払えば、3カ月目以降は月額2100円で利用できます。

毎月定額制だから、期間内にいくらレンズを交換しても追加でお金はかからない。結果、「期間を過ぎた古いコンタクトを、もったいないから使い続ける」という、目の安全にとって一番よくないことを、お客さんがしなくなった、というわけなんです。

メルスプランの会員数はなんと130万人にもなり(2019年1月時点)、今やその定額収入はメニコン全体の約50%を占めるようにまでなっています。

紙おむつを開発・販売するユニ・チャームも、サブスク的な定額サービスを今年7月からスタートさせています。それは、保育園向け紙おむつ&おしりふきの定額制サービス。保育士の人材サービス等を手がけるベビージョブと提携し、月額料金は2500円~3000円、オムツのサイズは5種類(保育園毎に、商品内容や価格が異なる場合も)そろえています。

現在、保育園で使う紙おむつの多くは、個々の保護者がマジックで名前を書いて登園時に持参するケースがほとんどです。紙おむつの準備、かさばる荷物を持っての登園。保育園側は、それぞれの園児の紙おむつを名前ごとに使い分ける。保護者も保育園側も、ちょっと面倒な作業になっています。

この、むつの定額制サービスなら、紙おむつそのものを保育園に直接お届け。保育園のスタッフが在庫数を入力し、少なくなると業者が配送する仕組みです。

保育園側は、園児一人ひとりのおむつを管理する必要がなくなりました。結果、おむつ替えのスピードが格段に上がります。1日のうち何十人いる園児に繰り返し行うオムツの脱着の作業効率化は、保育士の人手不足を抱える現場で大きな効果があるはず。

すでに、100カ所近くの保育園が利用しています。

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目次
・古い業界にサブスクで新しいプラットフォームを構築
・AIなどテクノロジーを使って「顧客の嗜好」を先取り
・参加するために「会費」を払うという消費はどんどん増える

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