不動産業界に2年いた自分が全力で投資すべき物件について語る

私は新卒から不動産業界の会社に2年勤めて、このたび退職した。2年というあまりにも短い期間だったが、勉強にはなった。就職を機に上京してきた私にとっては、毎日が「街を知る」ことの連続で東京には割と詳しくなった。他にも、マンションの販売を通して住宅ローンのことを学べたり、投資商品を企画したり取り扱うことで、自分が目指すべき投資像を勉強することもできた。2年のキャリアの中で、主にマンションの開発・販売をメインに行っていたため、殊更マンションのことには詳しくなった。

売れるマンションの現場も売れないマンションの現場も経験でき、なぜ売れるのか、なぜ売れないのかの市場分析の要素もリアルに学ぶことができた。ただ一番驚いていることは、売れないマンションも買っていく人がいるということだ。たとえ、100戸以上の規模の大きいマンションが評判が悪かったとしても、PJは完結するのだ。つまり、いつかは完売するのだ。

逆に言うと、購入する人は正直営業マンのトークに騙されている。なぜかというと、営業マンはお客様に聞かれない限り、マンションの悪いことを説明しない。セールスポイントを口上手く並べて、あたかもお客様にとってpreciousな物件であるかのように説明する。しかし、全知全能の完璧な人間がいないように、完璧なマンションも存在しない。いいところもあれば、悪いところもあるのだ。では、いいマンションと悪いマンションの境界線はどこにあるのだろうか?


不動産は主観的なもの?

皆さんは「インベスターZ」という漫画をご存知だろうか?モーニング社から発売されている「学生が投資する」ことをメインにした漫画だ。

主人公の財前は札幌の道塾学園に通う中学1年生。道塾には「投資部」というの部活が存在し、中学生1年~高校3年までの各学年トップの6人によって構成され、道塾の資産を運用している。漫画内で取り扱っていた投資は、株式はもちろんのこと、FXや金、そして不動産など様々なジャンルが出てきた。投資だけではなく、貯蓄や就職のことにも触れているので、お金のことを学びたい人はもちろん、人生に迷っている人にも何か心を後押ししてくれるような漫画だろう。


前述で不動産のことにも触れているが、私が気になっている話がある。主人公の財前が投資部の存続をかけて、ライバルの藤田慎司と投資に関する3本勝負を行っていたのだが、不動産をかけた戦いがあった。道塾のOBに対して、上限5000万円でより魅力的な物件を購入した方の勝ちという戦いだった。主人公の財前は都心の高級エリアのマンションを安値で仕入れたのに対し、慎司は資産性の低い足立区綾瀬のボロ長屋を購入する。

勝負は財前の勝ちに思われたが、慎司はボロ長屋の借主である日本の伝統細工の職人さんとの話を回想する。そして、日本の伝統文化再興の可能性を見出し、物件を購入したと人情溢れたプレゼンを最後に展開する。結果は逆転で、慎司の勝ちとなった。


ポイントは「不動産は極めて主観的なものであり、より魅力的に見えたのが慎司の物件だった」ということだ。必ずしも、新しく高級で投資効率のいい物件が、不動産として高い評価を受けるわけではないのだ。私も大いに同意する。

前述に悪い物件でも、購入する人がいていつかは完売するという話をした。100%満足するものではなかったかもしれないが、購入した人にとってはそのとき最善のマンションを購入したということになる。だがその一方で、同じマンションを買わない人もいれば、興味すら湧かない人もいる。客観的な視点でみると、おそらく買わないもしくは興味がない人が大多数だ。だからこそ、最後は自分で決断をする。周囲の意見とは違う選択こそ、自らの主観をもとに判断したものと、他に何が言えようか。


不動産を選ぶ基準とは?

しかし、主観的な判断を下そうとすると、何をもとに選べばいいのかわからないことも多い。言うまでもないが、近年の情報技術の進歩によって、情報はより煩雑化・複雑化している。あまりに多すぎる情報の前に、私たちは選べなくなっているのだ。

業務上で多くの物件やケーススタディで見る限り、正直に言うといい物件の共通点は難しい。例えば20戸あるマンションの購入者も、購入の決め手になったポイントは全員バラバラだ。これらを整理するのは至難の業だろう。


しかし、なんとなくだが購入の決め手になっている項目はあった。下記で紹介する。

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