フォロワー様に320万円を現金一括返済した話(前編)

残暑厳しい8月下旬某日の夕方。東京都・渋谷から電車でほど近い、三軒茶屋(通称:三茶)に私はいた。返済の待ち合わせに指定された場所だ。三茶には20代の頃に2年間住んでいたので愛着がある。この地がまさか10年後に、Twitterで知り合った方に320万円を返すための待ち合わせ場所になるとは、想像だにしなかった。いつだって未来は不確定である。

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ギャンブル依存FX中毒の私は、6月の一か月間で600万円を溶かした。その中には相当やばいところから借りた300万円も含まれていた。返済しなければ、命とまでは言わないが今後普通の生活を送れないくらいのお仕置きをくらう可能性が高かった。一生病院暮らしか、後遺症が残るか。一括返済期限は7月頭。借金&FXを散々繰り返してきた私だが、今回ばかりはさすがに年貢の納め時だと半ば諦めかけていた。詰み。どうしようもない。

追い詰められたネズミとして、苦し紛れで『100万円を貸してほしい』と前回note記事の最後に書いた。100万円あれば、ハイレバFXで300万円にできる。とりあえず100万円あればいい、100万円なら借りられるかも(過去には別のフォロワー様に50万円単位でお借りしたことも何度かあり、私の金銭感覚がぶっ壊れている点については脇に置いておいてほしい)という淡い期待を込めたのだ。

ブログ投稿翌日、LINEメッセージの受信があった。「100万円必要って読んだよ。どうしたの?」3年前からTwitter上で交流があり、今年に入って10~20万円をちょくちょく貸してくださっていたフォロワー様の山下さん(通称)だった。

山下さんは、LINEのやり取りもするしお金を借りることもある、私にとって関係の浅くはない方であったが、実際にお会いしたことはなかった。私は山下さんに、100万円ではなく実際は300万円が必要なこと、早急に必要なこと、相続で不動産が自分名義になるのでそれを担保に融資を受ける予定で返済可能な旨をLINEで説明した。「分かった。すぐ300万円貸すよ。ただし、FXを完全にやめることが条件。」借入れは一瞬で決まった。

ちょっとした必要経費もあったので、お借りした総額は+α含めて313万円。すぐに私の口座に振り込まれた。まさか300万円を借りられるとは思わなかった。100万円でも借りられたら御の字(それでも普通じゃない)、それでFXに賭けるつもりだったところが、問題が一機に解決したのだ。全身全霊で安堵し、山下さんに深く感謝をした。

貸していただけたのは、私という人物の判断材料が多かったことも功を奏したであろう。過去の返済遍歴、Twitter3年分のつぶやきから覗ける性格、LINEのやりとり、定職&収入があるか、弁済能力があるか等、あらゆる要素を見て判断いただいたと思う。

お笑い芸人の粗品が「大金を借りたいなら、必要ないときでも小さく借りて返し、いざというときのための実績を作っておけ」とYotubeで借金ハウツーを公開していたが、そういうテコの原理的な力学も働いた結果となった。
※今回の300万円を借りるために10~20万円を借りていた訳ではなく、あくまでも結果論です。

利息は二か月弱で15万9000円。原資313万円に対して約5%。トサン(10日で3割)のヤミ金多重債務でもあった(元だが)私からすると、とんでもなく低金利だった。同時に生粋のFXハイレバ依存でもある私からすると、313万円に対しての15万円なんてものは、ないものと同然である。サンド伊達のゼロカロリー理論である。返済方法は、端数の89000円はLINE送金、残りの320万円を対面現金で、ということだった。

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320万円の現金をカバンに入れ、18時頃に三茶のパティオに私は到着した。山下さんは、一体どんな人物なんだろう。前情報としては「私はががお君のお父さん世代だよ~」とLINEで仰っていたので、相当な年上だ。職業は何なのか。表ではなく裏の方なのか。300万円を会ったこともない人間(しかもギャン中)に貸すなんて、はっきり言って普通じゃない。

「イカゲーム」という韓国で大ブームを巻き起こしたドラマがある。(※下記イカゲームのネタバレ注意!!!)参加者に殺し合いをさせて、生き残ったたった一人が莫大な賞金を得ることができるという賞レース。その主催者・黒幕はヨボヨボのおじいさんで、自身は余命僅かでありながら、それでもワクワク・刺激が欲しく、このようなデスゲームを開催したという衝撃の事実がドラマの最後で明かされる。山下さんも、そのイカゲームのおじいさんみたいな人物なのではないか。もしかしたらご自身は末期がんで病院のベッドの上で、代理の人間が三茶に来るのではないか。様々な想像が脳裏をよぎった。

「おーい、ががおくーん!」私に手を振る男性が、パティオの前に立っていた。『えっ・・・!?』私は山下さんと、衝撃の対面を果たすこととなる。


後編に続く。

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