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【外苑前野球ジム】動作解析プランから紐解く投球動作~アウトステップによる投球動作への影響~

前回のnoteでは、インステップによる投球動作への影響に関してお話しました。
踏み出し位置にはインステップがあればアウトステップも存在します。
インステップによる投球は頻繁に見られますが、アウトステップによる投球は稀ではないかと思います。
ただ、投球動作が未熟な小学生などでは起こりうる可能性があります。
そこで今回はそのアウトステップが投球動作にどのような影響を与えるのか見ていきたいと思います。


アウトステップとは

軸脚とホームプレートを結んだ線よりも一塁側(右投手の場合)にステップ脚を踏み出すことです。
習熟度の高い投手で見られることは珍しいですが、幼児期や小学生といった習熟度の低い人には散見されます。

ではどういう人がアウトステップしやすいのでしょうか

アウトステップしやすい人の特徴

  • 体重移動が不適切な人

野球の投球動作は身体重心を投球方向に向けて並進移動させた後に回転運動に移行します。そのため、身体重心を適切な方向へ移動できていないと、それを支えるステップ脚の位置も適切な位置から外れてしまいます。アウトステップしてしまう人は体重移動で自分の背中側へ移動してしまっている可能性があります。

アウトステップによる影響


では、実際にアウトステップは投球動作にどのような影響を与えるのでしょうか

  • 骨盤の早期回旋

右投手なら三塁側を向いた姿勢から動き始め、本塁に向かって骨盤を回旋させながらステップ脚を着地します。この際にステップ脚が本塁へのラインから外側に行くほどより骨盤を回旋させなくてはなりません。そのため、アウトステップしてしまう人は通常よりも骨盤を早期に回旋せざるを得なくなります。

  • 上胴の早期回旋

骨盤の早期回旋に加えて回旋域が増大することによって、捻転差の限界の到達が早くなり上胴の回旋が早期に起こってしまいます。上胴の早期回旋は下肢からのエネルギーの伝達を非効率化させるだけでなく、打者から腕が見やすい投球になってしまいます。

上記2点の影響により下肢からのエネルギーの伝達を効率的に上肢に伝達することができず、球速の低下が起こりやすくなると考えられます。

実践例

通常投球時のラプソードデータ
アウトステップでの投球時のラプソードデータ

上記は普段、まっすぐステップしている選手に通常の投球とアウトステップして投球してもらった際のデータです。

通常時の球速が 123.4㎞/h に対してアウトステップ時の球速は 117.8㎞/h と 約6km/h減少 しました。

モーションキャプチャで動作を確認してみると、、、

ステップ脚着地時点  左:通常の投球 右:アウトステップでの投球

アウトステップしてもらった投球でのステップ脚は通常時より靴1足分ほど外側に接地してました。

ステップ脚着地時の骨盤の回旋角度を見てみると、、、

通常投球時の骨盤回旋角度
アウトステップ時の骨盤回旋角度

通常時のステップ脚着地時の骨盤回旋角度 : 59.7°
アウトステップ投球でのステップ脚着地時の骨盤回旋角度 : 56.9°

アウトステップしての投球はまっすぐステップするよりも骨盤が約3°回旋していました。

その結果、リリース時の骨盤に対する胸郭の回旋角速度は、
通常 : 147.6 deg/s
アウトステップ : 133.2 deg/s

アウトステップしての投球はまっすぐステップするよりも約14deg/sec遅い結果になりました。

このように、アウトステップしての投球は、骨盤、胸郭の回旋に影響を与え、球速に影響を与えます。
皆さんもぜひステップ位置を気にしてみてください!

【参考文献】

  1. 齋藤健治,宮崎光次,新井野洋一(2015)投球動作非熟練競技者の投動作から見えること,日本野球科学研究会第3回大会報告集

  2. .齋藤健治, & 佐藤菜穂子. (2016). 野球の投動作における踏み出し脚のステップ方向の影響について. In シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2016 (pp. B-9). 一般社団法人 日本機械学会.

  3. .五百川威, 飯田晋, 相田将宏, 古賀良生, 山本智章, 田中正栄, ... & 塩崎浩之. (2006). 成長期少年野球選手における In step, Out step の投球動作への影響. In 理学療法学 Supplement Vol. 33 Suppl. No. 2 (第 41 回日本理学療法学術大会 抄録集) (pp. A0747-A0747). 日本理学療法士協会 (現 一般社団法人日本理学療法学会連合).

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