脱落性のeについて

こんにちは、井上です。


今日もフランス語の授業をしたのですが、そこで教えていて「脱落性のe」ってあんまり知られてないんだなと思ったんで、簡単にですがその話をしていきます。


ちなみに、ネットだとあんまりこの脱落性のeって説明されてないんですよね。個人的には、紙の方のプチ・ロワイヤルの最後にある発音説明の項目は、この脱落性のeに限らずよくまとまってるので、興味がある人はぜひ見てみてください(ちなみに、この本編集した倉方先生にフランス語習ってました)。



で、話を戻して脱落性のeですが、この「フ ラ ンス語のイ ン トネーシ ョ ンとその周辺」という論文にすごいわかりやすくまとまってたので、簡単に引用します。

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無強勢音節の長さ
無強勢音節は短く速く発音される。 d(e) midiで母音 /e/ を発音せず, (une tasse) de caféでも [dcafe] のように言う。日常頻繁に使われる機能語では, 母音が極端に短いか脱落する傾向にある。

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フランス人がSNSとかで、j'saisのように書いてるのをみたことがある人もいりませんが、要するにこれと同じで、本来だったら発音するeの音が発音されず、その結果、音節が一つあってリズムがずれる!ということですね。


これはフランス語じゃなくて英語でもそうなんですけど、基本的に日本人が外国語を話すと、音節を増やしてしまう傾向があって、その結果聞き取れないし、話してもなんか違うということがよくあるんですよね。で、その時多くの人は、発音にフォーカスしちゃうんですけど、実はリズムが違ってるからうまく聞き取れないし、発音ができないというのがよくあります。


上の例でいうと、de midiをドゥ・ミィ・ディという三つのリズムだと思っていたら、d'midiのようにeが省略されて、ドミィ・ディのように二つのリズムで発音されたら、聞き取りにくいし、発音しても「なんか違うな」という感じが拭えないですよね。


と言っても、日本語で説明されてもよくわからないと思うので、フランス語の歌で具体例を挙げていきます。よくフランス語の授業でも取り上げられる「オーシャンゼリゼ」ですが、最初の出だしのJe me baladaisをそのままジュ・ム・バラデとすると、うまくリズムに乗れないと思います。ここは、Jeのeが脱落してると考えて、J'me baladaisのように発音すると、うまくリズムに乗れるかなと。



こんな風に、リズムというのは、注目度は低いですが、実はフランス語を話す上でも、聞き取る上でも重要度が高いんで、上の論文も利用しつつぼちぼち話していきたいですね。

長くなったんで、今日はこの辺で。


では!


井上大輔


追伸

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高度な外国語力を身につけたい人、テストで結果を出したい人に向けて役立つ情報をつぶやき中。TOEIC980点。早稲田英文→早稲田仏文修士→上智外国語学部修士→上智大学博士課程在学中。英語・仏語・西語・伊語の参考書&翻訳書も出版。著書一覧→http://amzn.to/jzUDtr