フレームの中の片思い

  高校生になって初めての体育祭。夏にはまだ早いが、じりじりと照り付ける太陽が僕の肌を焦がしていた。

  体育祭というものは出場種目以外の時間は暇なもので、思い出作りのために友達とふざけあったりするものである。もちろん先生に怒られながらだ。

  そんな感じで僕も思い出作りという名の暇つぶしに参加していた。そんなとき後ろから肩をたたかれた。


   なぁ、一緒に写真撮ってや ――――――――


  同じ部活に入っている、もともと仲のいい女子であった。気になるはずが無かった。

しかし、この高校生にとって何気ない体育祭での1コマが僕の忘れられない恋の始まりとなったのである。

 そして夏が来た。
 「最近めっちゃ暑いし、なんか夏っぽいことしたいよなー」 常套句である。異性へ向けた『何かしたい』は、ほとんどが『あなたと一緒にしたいです』ということに違いないだろう。

 「んー、せやなー。なんかあるかなー」

 「今月末近くで花火大会あるらしいで!」まるでその返しを待っていたかのような返事であった。
 「なんやったら一緒に行かん?」付け加えた。今となってはこんな見え見えな台詞よく言えたものだと思う。

「予定合えばね!」
 
それから少し経った。

「花火どうですか?」
                                                                         「友達と行くことになっちゃった。」高校生の好きな子と花火に行くという淡い期待は儚く散ってしまったのである。
                                                                        「んじゃ、俺も友達誘っていくかなー」せめてもの強がりだった。
 
そして当日。結局僕は仲の良かった男子と二人で花火に来ていた。

「花火来てんの?」急に連絡が来た。
                                                                     「ん?来てるよ?」
                                                                         「もしかしたら会えるかもね!」

「この人混みやで、会えるわけないやろ」本心だった。会えるわけない、会えたら奇跡である。
                                                                        「んじゃ、後ろにあるかき氷屋さん来てみ」振り向いた。彼女が立っていた。友達にトイレに行くと告げすぐに向かった。それから花火が始まるまでの5分ほどたわいもない会話をした。別れ際に言う言葉は決めていた。

    なぁ、一緒に写真撮ってや ――――――――


 その後もずっと彼女と仲はいいが、大学生になったいまでも片思いのままである。ただ、あの小説の一遍のようなあの夏を忘れることはない。

 また、今年も夏が始まる。

 
 

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食べられるなら煮込みがいいです。
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がじゅまる

大金持ちになりたい。そんな人生だった。
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