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20.時間 ジェイムス・テイラー

学芸出版社営業部の名物社員・藤原が、書店での何気ないやり取りを手がかりに、自らのロック遍歴にまつわる雑感をつづります。

この店に来ると、本のある生活が人生を豊かにすることを約束してくれているような気がする。
「○○さんいますか?」
レジの女性が「休みです」。
そう言われてもガッカリすることがないのがこの店。
「ああそうですか。しばらく棚を見せてもらいます。」

「モクチン」「場のデザイン」「アルスエレクトロニカ」など当社の本が棚にしっくりと馴染んでいる。平積みされている本の数を勘定するとまだ動いていないようだ。棚の前でこの本たちが読者との出会いがあることを願う。

今日は両親と伴に子供たちが絵本を選んでいた。

GORILLA/JAMES TAYLOR(1975)

 この店に入るとジェイムステイラーの「ゴリラ」が僕の頭の中で鳴っていることが多い。このアルバムのいいところは、ひたすら心地よいことである。
彼の声がその要因である。好き嫌いがある声なので、このアルバムがすべての人を心地よくするかどうは定かではない。

時間はゴリゴリと進むこともあれば、気付かないほど速く過ぎていくこともある。ただこのアルバムが流れている時だけは時間が宇宙の法則に従って進んでいることを体感できるのである。この店にいる時と同じように。

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