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17.支配 バッドレリジョン

学芸出版社営業部の名物社員・藤原が、書店での何気ないやり取りを手がかりに、自らのロック遍歴にまつわる雑感をつづります。

○○プロデュースという書店のスタイルがある。開店する時に選書、レイアウトを有能な書店プロデューサーに任せるというものだ。
先日そんな店にお邪魔した。

「開店した時はこんなんじゃなかったんです。時間が経つにつれて何がなんだか分からなくなり、こんな棚に・・・」

選書センスのよい本が開店当時は並んでいたことが展示されている商品からうかがえるが、それらに交じって初期に設定されたカテゴリー外の本が棚に並んでいる。

「開店した後、この店の選書をした方はメンテナンスに来られないのですか?」
「ええ、一度も」
「棚のコンセプトとか開店後に入ってくる新刊の取り扱い方などの説明はなかったですか?」
「はい」

棚は生き物である。世話をしないと死んでしまう。「カフェがあってこんな品揃えでやれば儲かる」という法則があるようだが、棚は常に新刊が供給され、売れないものは死骸のように棚にこびりつく。ビジネスモデルだのなんだのというムードの支配を壊さなければ、棚は魅力を失い、お客は棚から離れて行く。

THE EMPIRE STRIKES FIRST/BAD RELIGION(2004)

2004年にバッド・レリジョンが発表したこのアルバムに収められた「ロサンジェルス・イズ・バーニング」はドキドキするほど魅力的な歌だ。

現在の書店を見ていると何か得体の知れない大きな力に支配されているように見える。このアルバムを聴くと、そんな化け物のような力に支配された世界を打破するための勇気を与えられた気になるのだ。みんなで聴こうぜ!

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