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夕刊紙の行方

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

夕刊紙は仕事帰りの長距離通勤の友だった。夕刊フジそして日刊ゲンダイ。僕は後発の日刊ゲンダイ派だった。

特に何が読みたいという訳ではないが、1時間半ほどの時間を潰すのには最適だった。朝は新聞、夜は夕刊紙というのが都会のサラリーマンの定番だった。営業ネタはここで拾うことが多かった。

朝から晩まで会社にいて、都会なら通勤時間が1時間以上は確実、朝の新聞と夜のテレビニュースが情報源。しかしここから拾えるのは社会ネタ。下衆な話題と芸能・スポーツネタは夕刊紙に勝るものはなかった。全ての会話ネタがここにあるわけではないが、話のおかずには重宝するネタがこれらにはあったのだ。

さて今はネタを何で拾うのだろう。僕にはさっぱり見当もつかない。若い営業マンのトークをしばらく聞いていないからだ。
想像するにはツイッターとかフェイスブックから発せられる情報とインターネット上にある話題か?
まあそんな話もせず、商品説明と「売れまっせ」だけかな?

でもそれでは話が弾まないし、しゃべっている方も聞いている方も面白くない。貴重な時間を書店さんと過ごすのであるから何か仕事を離れた話題のひとつぐらい喋りたい。話をしている相手の人となりを少しでも知りたい。みんなそう思っていると思う。

電車の中で夕刊紙を広げている人をあまり見かけなくなった。多くの人はスマートフォンと対話している。若い人からおっちゃんまで。

夕刊紙が面白くなくなったのか、夕刊紙の140円という値段が気に入らないのか、かつてのように売れてないのは事実だろう。
電車の中ではゲームをして、家に帰ってネットで話題探し?
みんなどうやてネタを見つけてるの? 教えて!

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