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グリーンガム

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

書店が取次店任せの商売から脱却出来るように、取次店には書店をシステムで支援する仕組みがたくさんある。
新刊の予約をバックアップしたり、既刊書の売行良好書を紹介したり、とにかく売るための仕掛けを用意している。
目指すところは書店の責任仕入と責任販売による返品の減少と非稼働商品の排除である。
大量送品、大量返品の仕組みから逃れたいと思うのは両者とも同じだろう。

そして販売の効率化を推し進める先にはAIの導入が予見される。
そうなるとすべて店が同じ品揃えになる?
なんて僕は危惧してしまうのである。
20年ほど前に「売れる書店はこうだ」で書店のコンビニ化を懸念していたのだが、いよいよ現実のものとなって来た。

突然ですが、僕はグリーンガムが好きです。
ガムの種類はとてもたくさんあり、選ぶのに困ってしまう。
選ぶのが邪魔くさいからとりあえず、グリーンガムを買っているのではない。
僕はガムソムリエではないので、他の銘柄についてああだ、こうだ、言えない。
だから味や長持ち度について云々いうつもりはない。
好きな理由は安心感である。
ガムと言えばグリーンガムだよ!と言い切ってしまえる安心感がこのガムにはある。
さらに言うなれば、どこでも手に入れることが出来る。

で、話を戻すと、グリーンガムのような本を書店は棚に陳列しなさい。間違っても1つも売れないような本を店に置いてはいけません。と取次店のシステムは言い、書店はそうしようとしているのだ。
専門書出版である我々にとってグリーンガムみたいな商品は作れないし、最初からその気もない。
よってシステム化が進むと書店から姿を消す版元ということになってしまう。とほほ。

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