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店に通う

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

金がなく暇があるロック中毒の僕は中古CD屋に足繁く通っている。おそらく意味のない行為であると思う人が多いと思う。ネットで探せば簡単に見つかるよ、という人が多いだろう。しかし僕はせっせと通う。欲しいCDがネットでは簡単に買えると知っていても棚で出会うまで通い続ける。

ネット上で「なんかええもんないかなぁ」と探し、その出会いに巡り合うこともあるだろうと思うのだが、どうしてもそう出来ない。勿論パソコンを持っていないという現代社会の障害者だから不自由な目に合っているとも言える。

書店でも同じようなことが起こっている。本はネットで買う。目的の本さえ決まれば電車や車に乗って書店へ行く必要ななく、キーボートを叩けば本は手に入る。だから書店の売上げは下がったと言う人もいる。書店の低迷はネット書店のせいだと。

しかし、そんな人ばかりではないのは書店の賑わいを見れば分かる。彼らは探しているのである。目的もなく探しているのである。棚で出会うことを期待して。書店にはその魅力や何気ない出会いの機会が多く存在し、それに巡り合った人が出会った本を手にしてわくわくしているのである。しかしながら、本と出会った人が書店で買うのか、家に帰ってネットで買うのか僕には分からないのだけど。

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