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羊飼いの情報

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

ツイッターやフェイスブックなどから伝わる情報の「濃さ」には驚きを感じる。誰かの意見は誰かの意見に過ぎないのだが、こうしたメディア?を通じると人の群れにダイレクトに情報が伝わる。フォロアーと言うくらいだから、発言者の感性にかなり近い人たちの群れということが出来る。

「今日飲みに行かへんけぇ」というと1000人もの人が「行く、行く」というようなことに近いと思う。街の中で「飲みに行く?」と何人にも声を掛けてもこうはならない。ツイッターやフェイスブックという道具を使うと実現する。なにせフォロアーたちは熱いからね。

こうした群れを掴むために企業では積極的にツイッターやフェイスブックに発言を続けている。暴動や革命の引き金を引くこともこれらの仕掛けの上で可能な世の中である。群れを操る羊飼いみたいな感じなのかな?

群れの中にいる人たちは孤独感が薄れる訳だからそれはそれで幸せなことなのかも知れない。優秀な羊飼いの出現が本を売るきっかけになることもある。羊飼いがこの草はうまいぞ、と言うと羊は一斉にその草を食べ始める。本を売るシーンでも同様のことが起きている。その発言が宣伝文句ではないのでフォロアーたちの信頼はますます強くなる。

羊飼いはどこにいるのだろう。ネット上の羊飼いは、もしかすると企業から雇われた者たちではなのだろうか。ネット上の羊飼いは姿を現さないのでその実態が分からない。草原の羊飼いならその振る舞いや姿から信頼出来るかどうか判断出来るのだが、姿無き羊飼いに僕は着いて行く気が起こらない。

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