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二度とすんじゃねぇよ!

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

ある日突然本がド~ンと届く。
「これ誰が注文したの?」と聞くと、「仕入本部の一括注文らしいよ。」という返事。チェーン展開している書店ではよくある話だと思う。

出版社の営業マンが書店本部の仕入れを訪れ、「これは話題の本ですから、是非とも貴チェーン店全店で展開して欲しいと思います。」というような話に、営業本部の担当者が「そうだなぁ、売れそうだ。500部注文するから委託で搬入しておいて」みたいな話がまとまり、発売日にドーンと店頭に届くという具合の話である。

店員さんはこういう本って売る気がしないと思うのだが、どうだろう。
だって自分で仕入れた本じゃなく、仕入本部の誰かさんが、どういう経緯か知らないけれど出版社の営業マンに頼まれて発注した本だからだ。
それに、上から目線で「これは売れる本だから売りなさい」と押し付けがましさがプンプンする。俺が売るのは俺が注文した本だけだ、勝手にされてはたまるかい!と知らん顔してこっそり即返品したりするのではないだろうか?

えっ、しないのですか? お上の言い付けを守って売るのですか?
そりゃそうですよね。社員ですから、上からの命令は絶対ですよね。上司の言い付けに背くなんて出来ない相談ですよね。だから渋々平台の一番目立つところに置くんですよね。
えっ、渋々じゃない。当然なんですか。万が一売れなかったら、指差して大笑いしてやるんじゃないのですか。厭味の一つも言わないのですか。売りたい本が満タンの平台に上司が注文した本が乗るのですよ。嫌じゃないですか?
そう嫌ですよね。売れたら本部の目利きは凄いと褒め、売れなかったら「二度とこんなことすんじゃねぇよ!」と恫喝するのが正解です。

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