蒲田健の収録後記:江口寿史さん
気が済まないんです
江口寿史さんの最新画集「STEP」
圧倒的な描画力と、カラリとした上質な官能が同居する江口ワールド。
様々な事物がモチーフとなるが、本丸は何といっても“女性”。
昔から女性の美しさが好きで、できることなら女性になってみたいとも
思っていた江口さん。でも自身は男性。ああいう風には、現実にはなることは
難しい。そんなジェラシーにも似た憧れを抱き続けてきた。
江口作品は、憧れを精製し純化した結晶として生み出されるもの。
うまくいったときには、憧れの対象に、いくばくかは同化できた感覚に
なるという。だがある意味当然のことながら、完全に同化することは実質的には
不可能である。本質的に果てのない営み。
ここで終点、という客観的な地点はない。
終着点となるのは、ここまででいいかなという主観。
気が済めばそこで終わりにできる。
江口さんは、まだもっと別のところに行けるんじゃないか、まだできそうだと
思い続けている。そしてそれが新たな作品を生み出し続ける最大の
モチベーションとなっている。
デビューから40年以上、還暦を過ぎてなお、巨匠はまだまだ気が済んでいない。
「愛すもの ずっと見続けているから
澱むことなく 常に新鮮」
P.S.今回2点収められている羽生結弦選手のイラスト。各々に込められた
熱量の違いをズバッと指摘する江口さんの奥様の眼力、さすがの一言です。
そして久しぶりのマンガ作品も大いに期待してお待ちしてます!
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