蒲田健の収録後記:羽田圭介さん

そもそも「生きて」いるとは何なのか?

羽田圭介さんの最新刊「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」

芥川賞受賞後、満を持して上梓した長編は、ゾンビが跋扈する

クライム小説。なんだ手垢のついた単純なホラーストーリーか、と

思うなかれ。中身は死んでしまっているのに体は動いているという

ゾンビは、様々なメタファーとなっているのだ。


重要なキーワードが、タイトルにもなっている“コンテクスト”。


コンテクストとは明文化されていないにもかかわらず、

読み手側が類推し感じ取る“文脈”。


日本はハイコンテクスト文化であるといわれる。

社会の中に様々な了解事項=お約束が偏在し、言わずともわかる、

察することでコミュニケーションが円滑化される。

効率的ではある。

しかしそれが常態化すると、空気を読むことが前提となり、

考えを異にする者には同調圧力が加えられる。「正しい」ことよりも

「多数派」でいることの方が優先される傾向になる。

思考は画一化され多様性は失われてゆく。

行き過ぎたハイコンテクスト文化は全体主義的危険度が高いともいえる。


その危険性を回避するためには、過度に文脈に乗らないこと、

たとえ乗っていたとしてもそのことに自覚的であることが肝要だ。


あなたは本当に「生きて」いますか?


“自らが 立つ位置 自覚してますか?

        知らずに流されているかもよ“

P.S.

言いたいこと、やりたいことを貫く、それが本当の意味で

「生きて」いく上での突破口になるのかなということ、

そしてそれが自分にとっては何なのだろうと深く自問させられました。


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