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蒲田健の収録後記:村田沙耶香さん

自分はポハピピンポボピア星人

村田沙耶香さんの最新刊「地球星人」

“地球星人”という一見普通名詞のようでありながらその実国語辞典には

載っていないであろうどこか奇妙な響きのするタイトル。

テレビの動物番組に興味があるという村田さん。“○○という動物は

かくかくしかじかの特徴を持つ繁殖活動を行っている”という類型化がされ

紹介される。普段特に違和感も感じずにその説明を受け入れるわけであるが、

よく考えると人類に関してこのような生き物としての類型化がなされることは

まずない。それはある意味、言うまでもない自明のことであるからであろう。

だが、と村田さんは考える。

もし地球外生命体が、地球という星の上に暮らす人類=地球星人を客観的に

見た場合、どのように見えるのか。

物語は、この社会での居づらさを抱え自らを別の星からきた存在であると考える

少女を軸に展開する。彼女の目には地球星人のふるまいは奇妙なものに映る。

したがって自らは異なる方法論で生きてゆこうとする。

主人公が自らの存在を地球星人ではないと思い込まざるを得なくなってしまう

ようにせしめている要因(端的に言えば虐待)の描写は読んでいて思わず目を

そむけたくなる。しかしこの問題も含め、常識とは、差別とは、「生産性」と

は・・・現代社会が抱える様々な闇を改めて考えさせられる作品である。

「考えもせずにただ それ やっている 

          でも本当に それ当たり前?」

P.S. 文学は頑ななご自分を自由にはばたかせてくれるためのもの、という言葉が

印象的でした。



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