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「若者力」に学生人材バンクの活動が紹介されました!!

先日、「若者力」という本の中に、学生人材バンクの活動が紹介されました。
日本農業新聞の記者の方に、弊社代表中川が取材を受け、その内容の一部が本に掲載されました。
他地域のプレイヤーの事例もたくさん載っていて、読んでいてすごく勉強になりました。
本の中で学生人材バンクのどこが評価されたのか、他地域のプレイヤーと比べての感想などをまとめてみました。

1.「若者力」について

若者力は、日本農業新聞さんが創刊90周年を記念して展開したキャンペーンです。全国各地の若者と地域の姿を多様な角度から取材してきたキャンペーンの中から、よりすぐりの記事や連載が掲載してあります。
若者が挫折しても前を向く姿勢を等身大で紹介したり、若者たちの挑戦を受け入れ、共に生きる覚悟を決めた地域を深掘りしているのが、読んでいて惹き込まれます。

2.掲載内容について

大学生が地域に関わることで起こる、「集落のにぎわいと学生の感動」をテーマに、掲載されています。主に、三徳レンジャー、農村16きっぷの活動内容です。

三徳レンジャーの大学生が、鳥取県三朝町方柴集落で稲作を始めて、来春で10年目になります。この10年目を迎えるにあたって、学生の活動を支え続けてくださったのが、農家の岩谷丈一さん。体調不良で2017年に離農しながら、その後も大学生に農業を教えてくださっています。
そんな岩谷さんが、「一生懸命米を作る君たちの姿に、元気をもらった」と、大学生に対しての思いを話してくださっています。
このように、三徳レンジャーの農業指導を長年やってくださっている岩谷さんをはじめ、活動を支えてくださっている方達の声も、載っています。

3.評価されたポイント

実際に、取材してくださった尾原浩子さん(日本農業新聞記者)に、評価していただいたポイントについて、お聞きしました。以下のように、答えていただきました。

私が学生人材バンクを取材したいと思ったのは、玄洋さん(弊社代表中川)が考案して地域の人たちに支えられながら学生と農山村の集落を結びつけた起業の仕組みそのものと軌跡がとても意義深いと思ったからです。取材する数年前に、お世話になっている鳥取大学の教授から玄洋さんを紹介してもらい、話を聞いてから、いつか記事にしたいとあたためてきました。

2018年度、日本農業新聞で若者力を年間通じた連載がスタートし、実際に農村で暮らしている若者や若手農家だけでなく、今は関係人口と呼ばれるような、住んでなくても地域に関わっている若者や通う学生も企画に盛り込みました。
実はこれまで、一方的な交流、おもてなしにより疲弊する集落や、「こうすれば地域は活性化できる」と農家に提言する若い人も取材してきました。「アイデアを出すより、地域を変える人がいなくて困ってるんだけどなぁ」と思ったことも少なくなく、各地で大学生が農業や過疎地域に関心を持っていろいろな形で関わっていることを力強く思う一方で、関係人口には少し懐疑的な気持ちもありました。

しかし実際に取材してみると、農作業やお祭り、地域イベントで、若いマンパワーとして、大学生や若者たちが模索しながらものすごい熱量で集落に入っていく姿に驚きました。
新聞では集落に向かう学生は年間延べ500人と数字に着目してしまいますが、学生が何回行ったかというよりも学生が卒業しても次の学生が受け継ぐその仕組みを定着させたことがまず、すごいと思いました。

三徳レンジャーを取材しましたが、地域の人は自分たちだけでは続けることが難しくなった農業を大学生が熱心に集落に通って受け継いで田んぼを耕すことに心から感謝していました。取材したのはほんのわずかな時間でしたが、損得抜きに頑張る学生を見守る地域の人たちを見て、胸にこみ上げるものがありました。些細なことですが、地域の人との餅つきでは、全員参加のクイズなど学生の皆さんが細部まで気を配っている姿も見ることができました。

何が決め手とは説明しにくいですが、地域と若者の対話の積み重ねが農山村再生につながっているのだと学びました。一方通行ではなく、地域と学生が歩み寄って成り立つ学生人材バンクの取材で、関係人口の一つの本質を知ることができたと思っています。ありがとうございました。

「学生が何回行ったかというよりも、学生が卒業しても次の学生が受け継ぐその仕組みを定着させたことがまず、すごいと思いました」。このように言っていただけるのは、本当にありがたいです。

大学生のプロジェクトは、継続して行う為に、いくつか課題があります。
例えば毎年、学生が入れ替わる中でノウハウの引き継ぎをするには、それなりのメンテナンスコストがかかります。
そこを乗り越えてでも事業を続けるのは、思いを持った学生が地域でチャレンジをすることで、言葉にし難いパワーが生まれるからです。
このパワーがあるからこそ、若者と地域に活力が生まれ、将来に繋がる原動力になっていると感じています。

 4.他地域のプレイヤーと比べてみて

若者力に掲載されている、他地域のプレイヤーと自組織を比較してみました。
本で紹介されている言葉をもとに、学生人材バンクとの共通点を見つけることができました。


「基本は伝えても、手取り足取りは教えない」
(宮崎県宮崎市で、新規就農者育成事業を行う
ジェイエイファームみやざき中央さん)

「地域との関わりも技術も、自身で考える力を養って欲しい」との思いから、このような指導方針をとられています。

学生プロジェクトも一緒で、手取り足取り全て教えてしまうと、学生の為になりません。
プロジェクトの枠組みを周りの大人が一緒に整えて、中身は学生が自分たちで考えて作っていく。
その中で新しい気づきがあり、何事も自身で考える力が養われると考えています。


「いろいろな人との出会いが糧。
卒業後も地域全体で面倒を見て応援してくれる」
(ジェイエイファームみやざき中央研修参加者)

学生プロジェクトに所属する学生は、地域でたくさんの大人と出会い、話をしています。
その中で、学校では学ぶことのできない経験をたくさんしています。
例えば地域の歴史を知ったり、その人ならではの人生経験を聞くことができたり。
このように、今後の人生をよりよくする繋がりを得ることで、人生を前に進めることができています。

「単なる労働力の提供や、集落が疲弊するような農業体験も続かない。
集落と若者が共感する関係をつくりたい」
(新潟県長岡市「にいがたイナカレッジ」)

どちらかが疲弊するようなプログラムでは、絶対に長続きしないと思います。
実際に農村16きっぷのプログラムでは、集落の課題解決に大学生が一緒になって取り組む。その代わり集落の方には学生と一緒にご飯を食べる機会を設けてもらい、そこで学生は集落の方と交流できる仕組みを作っています。
実際に、こうした意図を組み込んだ農村16きっぷのプログラムは17年間続くことができています。

5.今後に向けて

ここまで活動を続けてこれたのも、活動を応援してくださる皆さんのおかげです。
いつも、学生人材バンクの活動にご協力いただき、ありがとうございます。

今年から、寄付をちゃんと呼びかけようと始めていますが、現状は県からの委託事業というお仕事をうまく組み合わせて、学生たちの行動環境に還元しています。その事業がいつ終わるかわからないという一面もあるので、寄付を集めるようにしました。

年間300万円くらいあれば、アジト(学生拠点)の家賃やインターネット代、レンタカーやガソリン代。道具類・消耗品(軍手・長靴)なども準備できるし、リーダー会議や学生の面談などもある程度見ることができるかなと考えています。

これからも、学生がのびのびと活動する為の環境整備に、力を入れていきます。そのために、syncableというサービスを活用してインターネットでの寄付を集めさせていただいています。認定NPO法人を目指して、社内の体制なども変えてきています。まだ認定ではありませんが、寄付いただければありがたいです。


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