見出し画像

スマホの螺旋から、俺は降りる。SIMフリーガラケー生活3ヶ月を振り返って。


平成最後の日にiphoneを壊し、新元号だし、とスマホをやめることにした。

正直にいえば「新元号だし」というのは後付けで、
もともとすぐ落とすし故障するし、近くにあるとどんな時でも見てしまう依存性にはどうにかならんもんかなぁーと嫌気がさしていたので、iphoneが全く起動しなくなった時、何かの糸が切れたかのように、もうスマホじゃなくていいか、と悟った。

漫画『バガボンド』で戦いに敗れたキャラクターが「殺し合いの螺旋から、俺は降りる」と言うシーンがあるけれど、気持ちはそれに近かった。もうアプリもpaypayもOSアップデートも、そして"映え"を意識する写真を撮る必要もない。


仕事柄、外にいるか移動してるか以外はPCを開いているような状況なので、別にそこまでレスに大きなタイムラグは発生しないだろうし、急ぎの人は電話かけてもらえばいいし。

心は妙な充足感と解放感に包まれた。



さて、その日から3ヶ月が経った。

スマホをやめてすぐに購入したのは「ニッチフォン」というSIMフリーガラケー。自分はNichePhone-S 4Gという4G&テザリング対応のものを持っている。


それなりに種類のあるガラケーの中でこれにした理由は以下の通り。

①SIMフリー対応であること(LINEモバイルを継続したかったので)
②テザリングができること(そとでPC作業をすることもあるため)
③機能は、電話とショートメールだけと言うストイックさ。写真も撮れない。ライトもない。なんだかそれもいいじゃない。いくところまでいこうぜ。
④デザインが潔い。昔使ってたガラケーはこういう折りたたまないやつだった。
⑤スマホに比べて格段に安い。機種は1万円ちょい。これならちょっとぐらいミスっても傷は浅い。
※となると、だいたい機種は絞られていく


届いた時はその小ささに、計算機かよと思ったが、この懐かしいポチポチボタンとUXの前時代感がたまらないと思った。何より、スマホからの解放(勝利)に心おどっている自分にとっては、正直多少の使いにくさは全く気にならなかった。


しかし3ヶ月スマホなし&ガラケー生活をしてみると、意外に気づくことが多く、いかにスマホが全知全能を司るコントロールタワーだったのかに気づかされた。スマホ、すげー。

以下、気づいたことを書き出してみる。


① Google map が使えない。

アプリという概念がないので当たり前だが、これにはそこそこ困った。まず、知らないところへは行けない。事前にPCで地図を調べ、付箋に地図を手書きで書き、家を出る。しかしだいたい迷う。迷った時は人に聞くか、己の第6感に頼る。ただ限界が来たので、最近は使わなくなったカーナビをいただき、車ではカーナビに頼っている。


②写真が撮れない

カメラがついていないので撮れない。昔のガラケーはカメラ付いていたので、約20年ぐらい前の"写メ"がつく以前の状態ということになる。スマホを持ってたら確実にこの瞬間はストーリーズにアップしてたなーて時もあったが、もはや写真を撮れないので諦めた。写真は別に撮らなくていいやとすぐ諦めがついたが、例えば手書きのメモや企画書などをサクッと撮って送るみたいなのができなくなったので、それは少し困った。仕事柄、一眼レフを持ち歩くので、最悪、死ぬほど解像度の高いカメラで、手書きのメモを撮影している。地味にこの一眼レフが常に手元にあるというのも、スマホを手放した要因のひとつかも。

③ライトがない
これも昔のガラケーには付いていたはず。住んでいる岩手の遠野は夜、マジで真っ暗なので、足元が見えない。が、ライトがないので諦めて心眼で歩く。月明かりの明るさに敏感になり、あ、今宵は月が明るいな、と思ったら15夜だったりする。


④ショートメールが打ちにくいので、ショートメールを使わなくなる
画面が超小さいのでショートメールを使うのが億劫になり、電話をかけるか、PCの前に付けるタイミングでfacebookのメッセンジャー or LINEを使うことになる。別に死ぬほど急ぎじゃなければ、それでも全然ok(自分としては)。


⑤移動中にメッセンジャーやLINEを見れない
これは何が困るかと言うと、約束した(オフラインでの)待ち合わせ場所にいる時。あれ遅いなと思っても待ってるしかないし、逆にちょっと遅れますと言うことも相手に伝えられない。昔の待ち合わせ的なドギマギ感を感じることができる。まぁただ、電話番号を事前に交換しておけば良い。
あと、団体で移動している時やイベントを運営する時はちょっと困る。とっさの動作に反応できない。例えば団体で連なって車を運転している時の「次の信号でコンビニ入ろう」や、イベント時の「会場の温度2度下げて」などのメッセージが飛んでも気づけない。これは、スマホを持ってる人と一緒に行動してカバーするしかない。迷惑をかけつつもどうにかなる。


⑥長距離移動がやや苦痛になる
地方に住んでると平気で一時間は運転することがある。これまではyoutubeアプリでジャルジャルのお笑いや、TBSラジオの文化系トークラジオLifeを聴きながら運転していたが、それがなくなる。これには飽きる。結果、CDをちゃんと買うようになった。最近はサカナクションの最新アルバムのCDを購入し、聴いている。こうしてだいたい前の時代に戻っていく。

⑦ないので当たり前だが、スマホ依存症がなくなる
スマホがないので。全くスマホ依存もしないし、歩きスマホもしない。電車に乗ってもスマホは見ずに本を読む。持ってないから。あと音楽も聴かない。プレイできないから。その分、PCの前にいる時間は増えたかも。

以上。ちょっと想像すればすぐ思いつくんだけど、これが意外になくならないとわからない。それぐらい、スマホは全ての情報・機能が集約されている。その便利さと引き換えに、人はそこに縛られているのかもしれないけど。


あと、SIMフリーガラケーを検討している人から「ニッチフォンてどうなの?」と聞かれるのでサクッとレビューしてみる。

①通話は問題なし。ただ、ちょっと声がこもってる。
②テザリングも問題なし。
③iphoneから変更した際、SIMの設定変更がちゃんとできておらず超手こずる。試行錯誤して解決。
④一度故障。特殊な充電端末なので、その設置部分の金具が外れていたとのこと。サポート期間だったので無料で修正完了。やや困る。
⑤(前述したが)ショートメール打ちにくい。ただ、最小限で使う分には問題ないかと。
⑥持ってると珍しがられる。なんだか「次の価値観を持ってる人」のように思われる。だいたい機種はカッコイイという反応。
⑦小さくてたまに持ってるか不安になる。
⑧普段は全然存在感なし。
⑨スマホに比べたら安っぽいが、それもまたよし
⑩意外に電池は早くなくなる。何もしてないのにw  1日1回は充電してる。


最小限な機能しか最初から期待していないので、多少不自由でも、まぁいっかとなっている。普通に使う分には全然困っていない。



と色々書いたが、
●デザインの仕事的に、実機検証用のスマホと
●どうしても移動中オンラインにならないといけない時、もしくはリアクションが必要な時用のipadは

必要かなぁと思ってきている。まぁこの辺は状況に応じて判断しようかと。



とはいえ、いまの自分にとって日常にスマホは必要ないので、しばらくはこのまま生活してみて、何かあればまた考えてみたいと思う。


なくなって初めて気づくこともあれば、なくなれば諦めがついて、なくても支障がないようになるものだ。スマホ全盛の時代、便利さを手放すかわりに得たものもあるなぁと思ったりした。



と書いてる横で、最新テクノロジー大好きな妻は今日も巧みに親指を動かしネットサーフィンをしている。人それぞれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?