AIが作成した創作物に著作権が発生するか検討する

こんにちは、がくとんです。
今日はAIが作ったものに著作権が発生する(べき)かについて考えたいと思います。

僕はデザイナーのインターンを初めて約半年経つのですが、「あぁ〜これって人間じゃないとできない仕事じゃわ〜」と思うことがちらほらあったりなかったりします。

でも、別に表現というものは人間だけができるものではないんですよね。
例えば動物だって絵を書くことだってできるし (ゾウが絵を書いているというニュースを最近見かける)、
AIに関してはビートルズのこれまでの楽曲から特徴を見出し、新しい楽曲を作ったりしています。 (それっぽい感じがある…!)

このように、人間だけが創造性を持っているというのは半ば僕たちがそう思いたいだけのような気もします。そもそも創造性という言葉が何かを創作するフェーズに対して使われるのか、見た人が何かを感じるフェーズに対して使われるのか の議論は必要な気がしますが、それはまたの機会に。


著作権で保護されるためには「思想または感情」が必要

さて、では今述べた動物やAIが作成したものに著作権は発生するのでしょうか。

ここでは、著作権の要件のうち「思想または感情」が最も大事になります。

著作権法2条1項1号
著作物 : 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、 学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

まず動物の作成したものに関してですが、これは基本的に著作物とは認められないのが通例です。
実際に、海外でサルがいわゆる"自撮り"をした写真に関しての裁判では、動物の著作権は否定されています。

これに関して検討している文章によれば、思想や感情を持つのは人のみだと記述されています。

日本の場合、著作権法によって保護される著作物とは『思想又は感情を創作的に表現したもの』と定義されています。思想を抱くのは『人』だけですし、感情を創作的に表現することができるのも『人』だけですから、日本の著作権法が『人』だけを対象とした法律であることが確認できます。
(弁護士ドットコムNEWSより引用)

思想や感情は人間しか持たないことを前提に、著作権法が人のみを保護対象として想定しているため、動物には著作権を与える必要はない、ということが理由です。

まあ、そもそも「権利」や「法律」といった目に見えない概念は人間が生み出した虚構でしかないし、人間の生み出した制度に動物までを適用する必要はないと言うのが一般的な考え方だと思います。ですので、これに関しては学説間の対立もありません。


では、AIの場合は?

次に、AIが作成したものへの保護について検討します。

動物の場合と同様、AIにももちろん思想や感情はありません。
ですが、ひとえにAIの創作物と言っても、いろんな形があります。
例えば、

①AIを道具として利用した創作 (=実際には人間が関与しているもの)
②完全にAIが自動で生成しているもの
『次世代知財システム検討委員会 報告書(案)』より抜粋

があると思われます。

これらを踏まえて考えると、①の場合には実際には人間が関与していますから、「思想または感情」もなんらかの形で含まれていると考えるのが妥当であるように思います。

一方、完全にAIが自動で生成しているものに関しては、「思想または感情」が含まれていませんから、著作物として認めるのは難しいように思います。

したがって、著作権が発生するのは、「AIが生成しているが、実際には人間がAIを道具として利用した結果生まれたもの」に限ると言うのが正しい理解だと思います。


著作権のないものはどうなるか

では、著作権による保護を受けないものは、どう言った扱いになるのでしょうか。

これらに関しては、いわゆる「パブリック・ドメイン」(公共財)となり、誰のものでもないもの、つまり著作権フリーのものになります。

このような取り扱いを行う結果、少し問題も起きています。
と言うのは、実際には「AIが自動生成したもの」と「人間がAIを道具として利用して作成したもの」の区別は作った本人にしかわからないことが多いからです。

その結果、実際にはAIが自動生成したものであっても、自らが作ったものであると主張して、著作権の保護を受けるように仕向けることができてしまいます。

こういった現象は今後ますます増えていくと思いますが、これについて皆さんはどのような規制・保護の仕方がいいと思いますでしょうか。


まとめ

・動物やAIの著作権の保護には、「思想または感情」が重要になる。
・AIの作成したものには2種類あり、「人間がAIを利用して作成したもの」にのみ著作権は発生する
・ただし、実際にはAIの作成したものを正しく判別するのは難しく、これは将来顕在化する問題である

全然関係ないですが、僕の好きな漫画に「AIの遺電子」と言うものがあり、これは人間とヒューマノイドが共存している社会を日常感を持って描いています。

もし未来に人間とヒューマノイドが一緒に暮らす世界が来たとしたら、AI (ヒューマノイド)が作ったものにも思想や感情のある表現が著作物として認められるんだろうな〜。そんな世界を見てみたいな〜と書いてて思ったりしました。面白いので是非、読んでみてください。

おわり

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がくとん

法学部の僕が、UX/UIデザイナーになるまで

大学で著作権を学びデザインに魅力を感じた僕は、UXデザイナー職の就職を決めた。このマガジンは、大学3年生の僕が0からUX/UIのことを学び、学ぶ中で直面した法律にまつわる問題を考察することで、「デザイナーを守れるデザイナー」になるまでの道のりである。
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