Sketch等でUIを写経することは著作権法に反するのか? その1

こんにちは、がくとんです。

初学者がUIデザインを学ぶためのプロセスの一つに、「世に出ているサービスのUIを写経する」というものがあります。
これは自らの手でデザインをコピーすることで、パーツ一つ一つの意図やそのページ全体でユーザーに達成してほしい目的を知る上で意義のあることだと思います。

しかし、いざ写経をしようとすると、一抹の不安が頭をよぎります。
「このUIの写経という行為は、著作権的に問題ないのだろうか・・・?」と。
今回はそんな不安に対して、著作権法的にどう考えられるかを書いていきます。


検討その1:UIは「著作物」に当たるのか?

まずはじめに問題となるのが、UIが「著作物」となりうるかについてです。
もしUIがこれに当たらなければ、そもそも著作権法の適用は受けないので、写経することは全く以って問題ない、ということになります。

著作物かどうかを判断するためには、以下の要件が必要です。

①思想又は感情を
②創作的に
③表現したもの
④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
(著作権法2条1項1号)

この4つの要件に該当すれば、著作物と判断されます。
①思想又は感情 は、「人間が作ったものであること」が求められるものなので、UIも人間が作っている以上要件を満たすと言えます。

③表現したもの においても、単なるアイディアではなく具体的なものとして表れているかが問題となるので、要件を満たすと言えます。

④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの というのも、美術の著作物又は図形の著作物 (著作権法10条1項6号) のいずれかに当てはまるので、問題なく要件を満たすと言えるでしょう。

問題は、③創作的に というものです。これはすなわち、「UIに創作性が認められるか?」ということが争点になります。


UIに創作性は認められるのか?

この創作性の判断のポイントは、「選択の幅」というものです。
これは、創作性を認めるにあたって、「その表現にどれだけ他の表現を選択をする余地があったか」によって判断するというものです。

例えば、機能性を重視するグループウェアのようなビジネスソフトの場合、「ToDo管理」「スケジュール」のように、ほとんど必然的に配置すべき要素が決まってきおり、かつ各機能の表示もある程度型が決まっていると言えます。 (参考;サイボウズ事件 (東京地方裁判所 平成14年9月1日判決))

このようなものを著作物と認めてしまうと、他の誰もがグループウェアを作成できなくなってしまいます。これは社会の不利益となってしまうため、認められないと解するのが相当でしょう。

では、TwitterやFacebookといった写経によく使われるツールはどうでしょうか?これは先ほどの例よりも圧倒的に選択の幅があり、どのようにユーザーに情報を届ければ良いのかの工夫を凝らしていると言えます。よって、一概に創作性があると断定はできませんが、創作性が認められる可能性があると言えるでしょう。

従って、UIによっては上記4つの要件を満たし、著作物に該当すると言えます。著作物に該当すれば、そのUIの著作者に著作権が帰属し、侵害行為をした者に対して権利を行使できます。


本当にSketch等で写経するのはいけないのか?

今回はあくまで「UIが著作物に該当するか?」というテーマについてのみ論じたので、写経が権利の侵害になるかどうかについては触れていません。

単純に世に出ているUIの中には、著作物に該当するものもあると書いただけです。

「写経する行為が著作権の侵害に当たるのか?」についてはいずれ書く予定ですが、一つ言えるのは、著作権法は権利者の保護だけでなく、世の中の文化の発展のために作られた法律である、ということです。

この法律は、・・・(中略)・・・これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。 
(著作権法第1条)

この著作権法の目的に照らせば、UIの全てを権利で保護してしまうことにより、人々が創作することを萎縮し、文化の発展が滞ってしまう。そういったことを法律は望んでいないことは明らかです。

この原則を元に、Sketchの写経をはじめとした著作物の利用行為について考えられる限り論じてみますので、乞うご期待ください〜!


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がくとん

法学部の僕が、UX/UIデザイナーになるまで

大学で著作権を学びデザインに魅力を感じた僕は、UXデザイナー職の就職を決めた。このマガジンは、大学3年生の僕が0からUX/UIのことを学び、学ぶ中で直面した法律にまつわる問題を考察することで、「デザイナーを守れるデザイナー」になるまでの道のりである。
4つのマガジンに含まれています
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