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アプリの法律的問題をデザインで解決する

今、お手伝いしている会社でSNS・メディアアプリのデザインをしているのですが、その中で気づいたことがあり。
デザイナー・開発者に向けて一つの視点を共有したく思う。

サービスを作っていると、いろんな法律的な壁にぶつかります。
「SNSって、嫌がらせとか悪質なコメントにどう対応すればいいの?」
「レビューサイトで嘘のレビューを書く人がいて苦情がきてるけど、どうすればいいの?」
「このサービス小さい子供も使うよね。なんか配慮すべきことないかな?」

などなど、リリースが近くにつれてたくさん思いついてきます。
この場合にどんな考え方をすればいいのか、各論ではなく総論的なことを書いていきます。


視点1:サービス開発者は法律上「プロバイダ」として扱われる

一つ目。サービスを作っている者は法律上はプロバイダと呼ばれる存在になります。
これは直接サービスに手を加えているデザイナーやエンジニア(だけ)でなく、サービスを運営している会社のことを指します。

プロバイダの定義
何らかのサービスを提供する事業者のこと。

そして、プロバイダが守らなければならない法律として、「プロバイダ責任制限法(略してプロ責法)」があります。

プロバイダ責任制限法
第一条(趣旨)
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。

プロ責法の趣旨を見ると、プロバイダがきにするべきは、
・自らの作るサービスによってユーザーが損害を被る場面が発生したときに、どの程度責任を負わなければならないか
・発信者(主に他のユーザーに対して悪質な発言をした者)の情報の開示を他のユーザーに求められたときに、どのような処置を取らなければならないか
の2つの点であることが伺えます。

主に後者の点に関しては、あらゆるWebサービスで起こっていることであり、プロバイダは特に意識する必要があるでしょう。

例えば、2ちゃんねるでは不適切な発言に対する削除申請を管理人のひろゆき氏が受理せず、訴訟になったケースがあったりします(2ちゃんねる事件)。


視点2:法律的問題は様々な手段で解決できる

上記に挙げたものも含めて、法律はどうしても固い・守らなければならないものと捉えられがちです。

一方ではその通り。ですが、要は法律的なリスクのない状態にできれば、手段はなんでもいいとも言えます。

Webサービスでよくある解決手段は
・サービス利用規約
・個人情報取り扱いに関するプライバシー・ポリシー
などが挙げられます。ですが、これらのものをちゃんと読む人は少ないため、ユーザーに本当の意味で配慮しているかはなんとも言えないでしょう。

解決手段はこれだけではないはずです。
例えば、SNSでの悪質な発言を未然に防ぐのであれば、そもそもインターフェイスとして犯罪を起こす気持ちを醸成させないものにすることや、不適切な内容であることを検知し、その旨をユーザーに知らせるといった方法が考えられます。

Twitterは不適切な投稿を見えなくする配慮をとっている

法律的問題を単純に利用規約などで片付けてしまうのではなく、ユーザーの利用フローの中に組み込めないか、インターフェイスデザインで解決できないか、と考えることが、優しいサービスを作るためには必要なんじゃないかなと思います。

(おわり)

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