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裁ち鋏論 その2 東鋏論 〜東鋏全体について〜

大体毎日、パンツを縫っています。たいらです。
前回に予告した通り、今回は『東鋏』というものについて書いていきましょう。

あくまで個人的に調べたものだったり、他のサイトを引用していたりしますので、出来るだけそちらの出典も記載していきたいと思います。

まずはコチラの動画をご覧ください。
無断転載になりますので、問題があれば削除いたします。

優れているとされる長太郎の制作風景の動画です。
三代目長太郎さんと長勝さんの作り手さんです。
これは『東鋏』の中でも『総火造』と言われるものですね。
通常販売されていたものは持ち手(指を通す部分)が鋳物になっています。
刃はこのように叩いて作っているそうです。

動画の中にもあったと思いますが、刀鍛冶から始まり東京周辺にて発展した『東鋏』ですが、現在も作っている工房は殆どなくなってしまっています。
後継者がいないというのが最たる原因と思われます。

かつての資料から自分で系図を書いてみました。
コチラになります。


自作の図です。こちらも参照しました。


長太郎さんも長勝さんも存在していますね。
私は少しずつ『東鋏』を集めているので、これらの中でも十数種類所持しています。

吉田弥十郎(弥吉)さんから始まり、様々な系譜を描いています。
弥吉さんは刀鍛冶だったそうで、廃刀令以降に刀を打つことから裁ち鋏を打つことに変遷していった様です。弥吉さんの碑もあるそうです。(こちらを参考に)
刀と似ているのは軟鉄と鋼を合わせているところでしょうか。違う点は挟み込んではいないというところでしょう。
この軟鉄と鋼を合わせて鍛える方法が、海外の裁ち鋏とは違う点でしょう。海外や日本の裁ち鋏の一部は鋼のみで作られていると思います。(こちらを参考に)

さて、この『東鋏』、何が優れているのか、と言うと、やはり切れ味、長切れという点です。
メーカーによっての感触、手馴染みも違います。
しかしながら、メーカーによっての個性はかなりあり、特徴も様々です。
一応補足ではありますが、私は京都や土佐、兵庫のものも所有しています。それらは個人的に『東鋏』からは一段階落ちてしまうと思います。
やはり裁ち鋏の中でも『東鋏』が最高峰だと思います。
それだけに現在ではほぼ失われてしまった、というのは残念でなりません。

とは言っても、現在新しく作られる『東鋏』が無いだけで入手する方法がないわけではありません。
有名な庄三郎さんなどは未だに入手は可能だと思います。恐らく残っている在庫だけなのだとは思いますが。
それらの入手方法も記事にはしようと思っているのですが、私もその方法で未だに集めていたりもしますので、競争相手が無闇に増えてしまわないように有料記事で公開させていただこうかな、と考えています。
とは言っても誰でも思いつくし、誰でも辿り着きそうな方法論ですが…。

ここまで書きましたが、『東鋏』というものがある程度わかってくれたかと思います。
簡単に言えば、東京周辺で作られていた切れ味の良い裁ち鋏です。
コレらをメーカー別に特徴を示したいのですが、長くなりましたので、次回にしたいと思います。
次回は『東鋏』の中でも最高峰と言われる『長太郎』や『長勝』などを取り扱って自分の考えを書き出します。
それでは。

たいら がくと

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