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ソフトバンクがライバルになった日

約9年前の2009年に会社を立ち上げた。今やスマホアプリ1本で勝負しているが、当時は営業以外の知識は皆無だったため、営業会社としてスタートしたことは自分にとって当然のことだった。

最初に売った商材は、ソフトバンクモバイルの携帯端末と、ソフトバンクテレコムの固定電話回線。法人向けに営業に出向き、携帯が1台売れたら上位代理店から3万円がもらえて、固定電話回線をNTTからソフトバンクに乗り換えてもらうと数万円がもらえるという仕組み。たくさんの携帯電話を販売した。

当時ふと思ったのは「ソフトバンクの商品を売っていると、ソフトバンクより儲かることは一生ない」ということ。この頃から自社サービスへの想いを強くした。

そこから求人広告サイト、サッカーニュースサイトといくつかのチャレンジを重ねたが、どれもうまくいかずもがく日々。

会社には売上目標以外の目的は存在せず、2013年4月にはクレームが多発。「数字のために、お客さんが求めていないサービスを売ることはもうしたくない」と強く感じた。

ある日、初期から取締役をやっている松井が言った。

「この会社の真のビジョンは何なんでしょう?」

痛いところを突かれた。それまでのビジョンは綺麗なキーワードを並べていただけだった。誰もそれを目指していなかった。改めて、しっかり考えることにした。

しばし引きこもって自分と向き合い出た答えは「電気のような、世の中の人々に必要不可欠なものをつくりたい」ということ。

次の日から会社のミッションを「“なくてはならぬ”をつくる」とした。

「なくてはならぬもの=困りごとを解決するもの」と定義づけ、会社の壁に模造紙を貼り「困りごと」を200個ほど書いた。アルバイトのメンバーも含め30名ぐらいで模造紙をうめていった。

その中にあった困りごとのひとつが、現在運用チームで活躍する藤野が書いた「駐車場は現地に行って満車と知るから困る」というものだった。「月極駐車場の空きをスマホで予約できれば便利だ」皆が口を揃えた。シェアリングエコノミーというキーワードはもちろん、Airbnbというテック企業でさえも当時はまだ誰も知らなかった。

そして1年後の2014年、駐車場シェアリングサービス「akippa」を開始。

メディアでも多数取り上げられ徐々にサービスを成長させていくが、2016年以降に大手企業が続々と参入してきた。

駐車場系ではタイムズさん、三井のリパークさん。IT系では楽天さん、リクルートさん。キャリアではドコモさん。どこもかつて憧れた企業。リスペクトの気持ちを持ち続けた。そして楽天さんとリクルートさんが撤退するときはお声がけいただけた。嬉しかった。

おかげさまでakippaの会員数は75万人を突破し、年内には100万人に到達する見込み。徐々にサービスの拡大をできていて、ナンバーワンの座を保っていることには誇りを感じている。しかしもっと大事なことは多くの仲間やライバルの方々と共に市場を創ってこられていること。

そして昨日、新たにソフトバンクさんが参入を発表した。

日本経済新聞:「広がる駐車場シェア ソフトバンクが10月開始」

1人ワンルームのマンションでソフトバンクさんの商品を売ってた会社が、ソフトバンクさんのライバルになることができる。これは感慨深いものがある。

そして何よりこんなに燃えることはない!

しかし最も見なければならないのはユーザー。

提供するものは駐車場そのものではなく、人と人が会う手助けである。

「困りごと解決企業として、世界一のモビリティプラットフォームをつくる」ことで、世の中はより良くなると信じている。モビリティの未来をしっかり創っていきたい。

Always Beyond.

2018年7月14日 金谷 元気

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