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発音を長期記憶に刻み込め

ハングルの読みやすさ

2018年4月、Puffyの亜美さん(向かって上手)が「テレビでハングル講座」の生徒役として出演することをきっかけに、全くゼロからスタートしたガリレオの韓国語学習。このたび、ちょうど韓国留学中の友人もいるという縁もあり、このたび初めて訪韓の機会を得ることとなった。

出発日が近づき、予約していたゲストハウス近辺のマップを見ていると気づいたことがある。それは「호텔: ホテル」・「공원: 公園」・「학교: 学校 」のように既に学習の中で単語として認識しているものと、例えば「동대문: 東大門」のような初見で目にする地名とでは、同じハングルでも認識速度が格段に違うということ。

理屈の上では、ハングルは表音文字なので、読み方のルールを知っていれば、ひらがなやカタカナのように読むことはできる。しかし、音声と文字が長期記憶の中で既に結びついている語や表現であれば無意識に読んで理解することが可能であるのに対し、「その場で」文字を見て音声と結びつける必要がある場合には、意識的に脳を使っている感覚が強く処理スピードが大幅に遅くなる。その意味では、「この文字の形は〇〇と読んで××の意味」というように、漢字と似た形で記憶に貯蔵されている部分もあるのかも知れない。

脳科学の観点から言えば、その場で文字と音声を結び付けている場合では、ワーキングメモリーの限られた処理資源が消費されている状態であり、語学的にはその割合が高いほど「余裕がない」ということになる。逆に、長期記憶に蓄えられた知識が自動的に処理される割合が高まるほど、読んでも聞いても内容理解が容易になる。

1つでも多くの表現(単語やフレーズ)・構文パタン(文法)を、発音の記憶・自らの調音器官を動かす運動と結びついた記憶として長期記憶に刻み込むことこそ、究極的には語学のすべてである。今回の「ハングルの読みやすさの違い」に関わる気づきを得て、改めてこのことを実感した。

リスニング試験への応用

ちなみに今回の話は、英検やTOEICなどのリスニング試験を解く際の対策としてよく言われる「先読み」とも関連し、実践に応用できる。

ガリレオのレッスンでもリスニング試験の対策として先読みの方法や問題タイプごとの考え方を指導しており、特に重視しているのが固有名詞の事前チェック。すなわち、設問や選択肢から聞こえてくるであろう固有名詞を洗い出し、実際に試験問題で耳にする前に頭の中で音声化しておくこと。

上で論じた通り、試験が始まって「その場で初めて」音声と文字/意味とを結びつけるのではワーキングメモリーに負担をかける。聞きなれない固有名詞の音に注意が逸れると、リスニング試験においてより肝心な話の流れを見失ってしまう要因となってしまいがち。それを予防するのが「先読み」であり、頭の中で固有名詞の発音を予めリハーサルしておくことによって、長期記憶ではないだろうが「すでに頭の中にある記憶」として、実際に聞こえてきた時に余裕を持って理解できる=脳の処理資源を解答の本質となる部分に集中できる状態が生まれることになるのである。

次回のリスニング試験受験の際には、ぜひ意識的に実践してみてください。

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