サムエル記下 2章

1.塗油について
ダビデはその生涯のうち三度の塗油を受けている。
一度目がサムエル記上16:13、二度目が今回、三度目がサムエル記下5:3である。

このうち最も重要なのはまだダビデが貧しい羊飼いであったころ、兄弟たちしか見守る者の居ない実家で預言者サムエルより受けた一度目の塗油であろう。

その日以来、主の霊が激しくダビデに降るようになった。

‭‭サムエル記上‬ ‭16‬:‭13‬

からである。

対して、ダビデが受けたその他の二度の塗油はユダの王、そしてイスラエルの王に即位する際のものである。
世俗的には王権が与えられる重要なものではあるが、それは「ユダの人々」「イスラエルの長老たち」という人間の手で授けられたものでしかない。

現代のキリスト者も堅信の際に塗油を受け、それは聖霊を受けることと結びついている。
本章を読み、それについて考えた。

2.キリストの予型
前章でかつての主君、サウル王の死を知ったダビデたちとサウル家は本章から遂に直接干戈を交える。

ダビデ軍の司令官ヨアブとサウル軍の司令官アブネルはギブオンの池で戦端を開き、この戦いの中でヨアブは実の弟をアブネルに殺される。

ダビデ軍から逃げる中

アブネルはヨアブに呼びかけて言った。「いつまで剣の餌食とし合うのか。
悲惨な結末になることを知らぬわけではあるまい。
いつになったら、兄弟を追うのはやめよ、と兵士に命じるのか。」

サムエル記下2:26

と呼びかけられたヨアブはそれに応え、アブネルを追撃することをやめる。

ギブオンの池で両軍が本格的に戦いを始める前、古代の戦争の作法に則り、両軍はそれぞれ代表者を選び戦わせる。

丁度、サムエル記上17章でイスラエル軍がダビデを、ペリシテ軍がゴリアテをそれぞれ代表者と選んだように。

今回、12部族からなるイスラエルがサウル軍とダビデ軍に分かれて互いに争う中、両軍の代表者に選ばれた12名は皆相打ちにて死ぬ。

ダビデ家とサウル家の戦いは苛烈であり、サウル家の者は結局、ヨナタンの息子であり両足に障害を持つメフィボシェトしか生き残りはしなかった。

ダビデは親友ヨナタンに対する忠義を示すため、このメフィボシェトにサウル家の地所を返し、またイスラエル12部族を統一する王となったダビデの食卓に連なることを許す。

ここには不完全ながらもキリストの予型が示されているのではないか。

イエスは言われた。
「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。」‬

マタイ26:52

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