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五感の新しい使い道

 私は目が悪過ぎて(0.01未満)、メガネやコンタクトが無いと出歩けないのですが、普段生活している家ではモノの場所も分かるし、落ちているゴミにも気付くし、何なら眼鏡をしていても足を机の角にぶつける時もあるしで、意外と視覚に頼っていない事って多いなと実感します。そういえば、視覚に障害のある方と生活したときも同じようなことを仰っていたと思い出します。

富士通から、『Ontenna』という商品が7月に発売されます。

 Ontennaとは『ヘアピンのように髪の毛に装着したり、耳たぶやえり元やそで口などに身に付けたりすることで、振動と光によって音の特性を体で感じられるユーザインターフェース』という事です。

 落合陽一さんが、日本フィルハーモニー交響楽団と共に『変態する音楽会』を開いた事を思い出しました。オーケストラが演奏する音楽に合わせて、まさにこの「Ontenna」と、「Sound Hug」という抱き枕のようなデバイスが振動、発光し、聴覚が不自由でも音楽を楽しめるという音楽会でした。

 健常者の身からすると、今いちその感動が伝わりにくいかもしれませんが、「音」を聴覚以外で感じ取るという試みは実は斬新で、新しい発想です。

 以前、「六本木クロッシング」という美術展に行った時も、音を振動で感じる作品があって感動しました。胎内に回帰するかのような、全身から音が聴こえてくる不思議な体験でした。

 テクノロジーの発展により、五感の使われ方が拡張されてきています。
聴覚を補助するものは補聴器の進化だけだと思っていましたが、他の感覚器を使ってそこを補完するというアプローチは、何だか優しさと柔軟さと面白さがあります。

 テクノロジーに頼らずとも、美味しそうなお肉の映像を見て味覚を楽しませたり、冬の海の音を聞いてその温度を感じたりする事ってありますよね。意外と五感の使い道は相互的で、もっと拡張の可能性があるなと感じます。

『無いものに拘るのではなく、あるものの使い道を増やす』

色んな場面で使えそうな発想だと思います。

 それはそうと、この「Ontenna 」ろう学校に配布される予定との事です。

 ろう学校の生徒達が、このインターフェースを楽しむだけでなく、世間に自分達を支えようとしてくれる心強い存在がいる事を感じてほしいなと思います。

五感の新しい使い道、他にも形にしてみたいですね。

#コラム #Ontenna #富士通 #落合陽一 #日本フィル #変態する音楽会 #聴覚障害 #障がい者

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