見出し画像

『多様性』を誤解する社会

 24時間テレビが苦手です。(ここで読者、去る。)
善意の強制力で感情レベルの共感を求めまくる上に突発的な番組だから。本当に伝えたい事があるならNHKみたいに、帯でやれば良いのに。視聴率は下がるだろうけど。と強く思ってしまいます。感情レベルの共感を求めると、分かった気になってしまう危険性を孕んでいると思います。

  そんな訳で、最近よく聞く『多様性』
『だいばーしてぃ あんど いんくるーじょん』

この意味を履き違えているケースが多いな...と思います。というか、このままじゃ社会が良くない方向へ向かうのじゃないかと。

 幼稚園くらいの子どもに、「多様性ってなにー?」と聞かれたら何と答えますか?私は「いやいや多分君の方がよく知ってるよ」と答えると思います。まだ同調圧力がない世代は本当の意味の多様性を知っています。そして簡単に生き物を殺したりする子供には善悪の意識がまだありません。

  詳しく説明していきます。

 広辞苑的に言うと「多様性」は「ハバヒロクコトナルセイシツノグン(群)ガソンザイスルコト」とありますが、そういう事ではなく、いやその意味であってるんだけど。例を出します。

 例えば話題のLGBTQ。これを知らない人がいた時に「いやいや知ろうよ、多様性レベル低いね」という事や、LGBTQの人苦手...という人がいた時に「いやいやLGBTQの人と仲良くしようよ!理解して!」と当人でも無いのに押し付ける事。こういった流れが今の社会の「多様性」という言葉に含まれています。

 その多様性は感情レベルの共感を求めているんです。
「私のように多様性を理解するべきだよ」と言わんばかりの、「私と同じ広い心と考えを持ってよ」と言わんばかりのスタンスです。

 いやいやいやいや、そういうことではない。
「多様性」は目的になり得るものではありません。みんな受容しようぜ!という割には、その人が考える多様性から距離を取る人を受容していないんですよね。

『私は外国人とは相容れない』
『LGBTQの人になんか抵抗を感じる』
『私は犯罪を犯した事があります』
これも全部、多様性で括られます。

多様なんです。善悪で言えば、悪寄りだったとしても、多様性の受容とは全員が善になる事ではありません。

 その辺の感覚値に対する理解というか腹落ちが足りない人が多いようで、24時間テレビのような、その時だけの、感動で共感を集める、誤解される『多様性』が存在しています。

『募金しない人』
も多様な人の一部なんです。

  つまり、▽善悪で判断する事ではない▽善意で強要する共感は多様性受容と真逆▽犯罪者も多様性の一部なんです。

ここで私が必要だと思うのは、
『適度な距離感』です。

「あなたはそう考えるのね、でも私は逆でこう考える。まあお互い自分の考えを大事にしましょ」

これが本当の多様性受容に近いと思います。
そこに善意の強制はないし、無理に付き合う必要もありません。あなたにはあなたの最適なコミュニティがあり、相性が良い人がいるんです。それでいい。

 ここで大切なのは『相手を否定しない事
自分の正義を振りかざして、相手を否定して、自分の正義に引き込もうとするから、戦争も起きるし奪い合いも起きるし傷つけ合うわけです。

  人は変化します。

昨日より今日、今日より来年には、新しい価値観と知識を持って成長しています。(これについてはバックナンバー『知という価値観』を読んでみてください)

 本当の多様性を尊重し、受容し、適度な距離感を保つ事で、一人ひとりの人間が居場所を得られるのだと思います。その人もいつか新しい価値観を得ます。LGBTQのQを知る前後が私にもありました。

 知識として、「こんな人もいるんだよ」と話すのは構いませんが、そこに善意の強制があるとそれは自分の価値観でしか相手を見れていない事になります。

 「多様性」といった何となく前向きに感じる言葉を使うと、人は『善か悪か』のモノサシを持ちこみがちです。

 犯罪者でも更生したらそれで良いじゃない。まだ反省していないなら敢えて付き合わないけど。でも道で転んでたら手は差し伸べる。これが『多様性』の尊重ではないかと思います。
適度な距離を置く、けれど困っていたら助ける人がいても良いし、お節介すぎる人がいても良い。傷つけ傷つき合いながらもお互いの心が触れ合う瞬間の多い多様な社会であると良いのかな、と思います。

 皆さんはどう感じるでしょうか。何となく前向きに使われている言葉の意味をよく考える機会を、是非つくってみてください。

 24時間テレビを作ってる人に頑張って欲しいとは思います。唯、私は見ませんし、募金は違うところでします。笑

#多様性への誤解  #ダイバーシティ #インクルージョン #コラム #多様性 #善意の強制

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?