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フローラ史から見る『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』。初めて表舞台に立つもう1人のヒロイン

色々と賛否巻き起こっている映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』ですが、1つだけ確かなことがあります。それは“フローラが普通に登場して、かわいい”というところです。
ビアンカと並ぶ結婚相手としてゲーム中に登場するフローラが普通に登場する。フローラがかわいい。これは当たり前のようでいて、当たり前ではありません。

せっかくなので、僕のフローラ史観のドラクエを紹介して、映画がどれだけ画期的なのかお伝えしたいと思います。
途中から映画ネタバレが入りますが、映画のネタバレに入る前に宣言してあるのでご安心を。

スタート時はひっそりと

かのゲーム帝国憲法には、ヒロインの基本的人権として、CM登場権、パッケージ登場権、個別エンディング権の3つを定めています。しかし、フローラにはそのうち二つが生まれながらにして与えられていませんでした。

スーパーファミコン『ドラクエV』を見ると、パッケージにはフローラの影も形もありません。記憶が確かなら、この時期は結婚イベントがあることだけ明かされていて、フローラの存在も公開されていなかった気がするので仕方ないかな、と言ったところ。
思いがけずフローラと出会える驚きに価値があると考えれば、お得とすら言えるかもしれません。ゲーム帝国憲法にも「パッケージ権・CM権は隠しヒロインの場合は例外とすとすとす…(残響音含む)」とされています。

そんなわけで、CMに登場するヒロインはビアンカだけです。

攻略本の表紙に登場するヒロインもビアンカだけ。攻略本の中でも、ビアンカと結婚した前提で描かれたイラストが多く、フローラと結婚することなどありえないかのように無視されていたものです。

PS2、フローラ悪夢の時代

そしてPS2版。フローラを秘密にする必要もなくなったし、フローラの設定も(蛇足だけど)追加されたし、今度はフローラも基本的人権が与えられ……ませんでした。
当然のようにフローラがいないパッケージ(表も裏も)。パッケージ権を要求したい。

新規に撮り下ろされたCMでも、ビアンカのみの登場。
子供のビアンカが出てくるし、大人枠フローラに譲っても良くないですか?あ、だめですか……2大ヒロインなのに。

さらに、PS2版では幼いころにフローラと主人公が出会っていたという設定が付加されてしまいます(下の画像はスマホ版)。
自分としては「初めて会ったボロボロの奴隷風男に対しても優しいフローラ」が好きだったので、知り合い設定が加わると出会いの意味が変化して嫌でした。公式が解釈違いなんですよね。

この時期は『いただきストリート SPECIAL』にフローラが登場し、ビアンカとの差別化のためか嫌味なお嬢様キャラ化します。
「ビアンカさん、私が世界樹のしずくだとしたら、あなたは毒消し草ですね」というような高飛車・嫌味セリフを吐くことでキャラ立て……公式が解釈違いなんだよね……。

「なかったことにされたくなければ、キャラ付けしな!」
という感じで、PS2時代のフローラは売れない芸人のような生活だったのです。まあ、『いたスト』もネタとしては面白かったんですけど、それでもねぇ……。

DS・パッケージ裏に登場する歴史的快挙

で、時間は流れて今度はDS版。ここからは新たな結婚相手としてデボラが登場し、トリプルヒロイン体制です。もはや、複数ヒロインを隠す必要すらない。今こそ、メインビジュアルにフローラを!
と思いう思いもむなしく、メインビジュアルはビアンカ。

それでもフローラはパッケージ裏に登場が許されるという歴史的快挙を成し遂げます。ついにフローラはパッケージ権を獲得したのです。
まあ、ビアンカは表面に続いて登場して子供までいるんですけど!

これが格差社会……と涙するまもなく、新たな悲劇がフローラを襲います。
DS版のTVCMには常連であるビアンカと……新規ヒロインのデボラが出て……え、フローラだけいない!?
そう、ずっと登場しているはずのフローラは、デボラに扱いで負けたのです。しかも「一番多く花嫁に選ばれたのは私よ」と、CM内でビアンカが煽りを入れるおまけつき。過去作にデボラはいないから「フローラより私が人気なのよ」とか言ってるだけ。その情報いる?

そして時は流れてスマホ版

さらに時は流れてスマホ版。「DQV発売!」のプレスリリースを確認した私は驚きました。
スクリーンショットに登場するのはビアンカのみ。ただし、公式サイトのメインビジュアルにはフローラが登場しているので、メインビジュアルに存在が許されるようにはなりました……一番小さく。

以上。
2大ヒロイン制を採用しているかに見える『ドラクエV』で、フローラがいかに冷遇されていたかご理解いただけたと思います。
ビアンカがメインビジュアルに入りやすいのは理解できますが、いろいろな場所でフローラの存在が空気のように扱われ、イラスト点数も少ない。決して怒っているんじゃないんです。ただ、寂しいんです。
「自分の遊んできたドラクエVをなかったことにされる」ような寂しさをフローラの扱いに感じていました。否定よりも、空気のように扱われる感じがツライ。

近年では『ドラゴンクエスト ライバルズ』とか、『ドラゴンクエスト ヒーローズ』など、派生作での扱いは平等になりつつあるのですが、本編では……ねぇ。
とおもっていたところに来たのが映画です。

映画では平等だ!

『ドラクエV』本編のような、そうでないような。でも、とにかく2人を選んで結婚する要素のある、本編に近いブツ。
映画版『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』で奇跡が起きました。フローラとビアンカが横並び。同列のヒロインとしてメインビジュアルに登場しているじゃありませんか!

しかもですよ、PS2では鬼のようなキャラクターにコンバートされましたが、映画では清楚なお嬢様キャラのままで性格も問題なし!
まさに2大ヒロインといえる扱いで、かわいいし、それでいて背伸びしてルドマンさんから自立しようとしているし、思いやりがあるし、最高。
各プレイヤーごとにフローラのイメージはあると思うので、最善の描写ではないかもしれません。しかし、フローラがルドマンさんから自立している描写は、フローラファンなら一見の価値ありです。

そして、ここからはネタバレありで語ります。




映画版では、主人公がビアンカを選んで結婚します。そうです、結局はビアンカ優遇なのです……と思いきや、最後にどんでん返しが待っています。

この映画は実はVRで再構成された『ドラクエV』原作作品を遊んでいるという設定で、主人公は「いつもビアンカを選んじゃうから、フローラと結婚できるように自己暗示プログラム付きで開始してください」という感じでゲームを始めていました。
「フローラっていいよね」と思って選ぶのではなく、「2周目だから」的な。
もちろん、ゲームとしていろいろ試せるのはいいことなのですが、映画内でもフローラを「ビアンカに飽きたからたまには」と扱われるのは気に食わないところがあるわけです。

そこにきて、この映画のフローラは主人公がビアンカ好きであることを見抜き、フローラ自身が主人公を振る形であったことがエンディング付近で明かされます。
つまり、フローラは選ばれなかったのではなく、フローラが選ばなかった結果でビアンカが選ばれるのです。ここで、初めてフローラはビアンカと同等の地位を獲得したのだ、と思えました(ビアンカ好きの気持ちは複雑かな、とは思いますが)。
私が『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が好きな理由はこれだけではありませんが、フローラに関してはこれだけでも価値があると思えました。公式が、フローラの存在を認め、初めてビアンカと平等な扱いをしたのがこの映画だから。

いろいろと物議を醸しだしているVRオチですが、これを実現させるために必要ではあるし、価値があるかな、と思っています。
少なくとも、ビアンカと結婚してミルドラースを退治してハッピーエンドになったらその時点でこれは「自分のドラクエV」ではなくなってしまっていた。それを救ってくれている。

作品全体をもっと丁寧に扱って欲しかったとは思いますが、フローラを丁寧に扱っている作品は映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』だけ。
公式が無視していると思っていた存在を扱っている映画が嬉しかった。

映画とも相性が良いフローラ

もうひとつ。

『ドラゴンクエスト ユアストーリー』は”プレイヤーを主人公に投影してはいけない映画”だと感じています。そうなると、細かい違いや雑さが気になってどんどんつらくなると。堀井さんも「ゲームを体験していく話ではなく、客観的に見るもの」と語っていて、そのように観劇できないと辛い。
そこにきて、フローラ派は主人公がビアンカと結婚した時点で主人公と自分が別物となり、映画を客観的に見やすくなります。
なので、映画自体も楽しめる可能性は高くなる。人に勧めづらいこの映画ですが、それを考えるとフローラとしか結婚したことがないフローラ派は、映画をチェックして行くか検討するぐらいはしてもいいかな、と思います。

合わなかったらそのときで!

でもって、もうちょっと真面目な感想も書いたのでこちら追記。こちらはマガジン読者向けですけども。

6:30
ヒーローズとライバルズに関する表記を追加しました
あとは誤字とか内容に関わらないものを随時適当に直したりしてます


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