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【開発者向け】インディーゲーム紹介番組『INDIE Live Expo』で目立つには?運営に聞いたプレミア枠選出に必要な面白さ、注意点などから考える

オンライン時代のゲームイベントの成果は、どの程度になるのだろうか……ということで、先日インディーゲーム紹介番組の『INDIE Live Expo(以下、ILE)』の効果を調べる記事を書いた。

結論として、インディーにとっては無料で出展できるわりに効果が高いし、新作の発表にも、既存作品の宣伝にも使えることがわかったので、すごくおすすめしている。
で、この ILE が 2021年6月5日に開催され、その申込締め切りが2021年4月19日16:00。

先の記事を書くことが縁になって、ILE 共催の株式会社リュウズオフィスさんと話すことができたので、直前となってしまったが、出展者が知りたいであろう情報を率直に聞いてきた。
参加を検討している方はぜひ、これを見ていただきたい(ついでに、前回の記事もあわせてご覧戴きたい)。

今回、灰色に囲まれている引用部は ILE 主催側に確認をとった内容となる。

Q.ILE応募テキストはそのまま読み上げられますか?各言語圏向けに翻訳されますか?

これまで応募時に使用したゲームの紹介テキストは、そのまま日本語で読み上げられることが多かったのですが、今回もそうなるでしょうか。
また、番組は日英中同時放送ですが、そちらで読み上げられるテキストは ILE 側が応募時の紹介テキストを翻訳して読み上げる形になるのでしょうか。

A.今回日本では映像としての形の紹介になりますので、日本語放送では文章の読み上げは行いません。
英・中向けにはそちらの対応を予定しています。

Q.良いメインビジュアルのポイントは?

今回はメインビジュアルの提出が必要ですが、番組として良いメインビジュアルなどのポイントはあるでしょうか?

A.遊んでいただきたい方々がそのビジュアルを見たときに、ゲームの世界観・内容・展開を想像することができるものがよいと思います。その上で、「このゲームについて詳しく知ってみたい」あるいは「自分の好みだ」と直感的に思ってもらえる内容が望ましいです。
ゲーム制作の際に併せて準備いただくのが良いです。

Q.INDIE Live Expo での「初出」とは具体的にどのような条件ですか?

ILE では初出情報であること重要とされていますが、具体的に初出とはどこまでを指すのでしょうか?
例えば、下記の条件ではいかがですか?

1.完全に影も形もない状態で初発表
2.身内向けにはこっそり発表していた
3.ファミ通などのメディアの隅に開発中の写真などは載ったことがあるが、詳細は発表していない
4.Twitterで画像やタイトルは見せていたが、細かい発表はしていない
5.ゲーム自体の存在は伝えているが、内容や画面はほぼ見せていない

A.一般的な手段で知り得ることが可能ではない情報を初出と呼んでいます。
上記だと、2までが該当します。
たとえば、タイトルの情報は発表していた。発売日は発表していない。
だと、発売日のみが「初出」情報に該当します。

Q.ストアのオープンタイミングはいつから許される?

アプリストアの予約ページをオープンすると、イベント前にプラットフォームのユーザーから情報が見えてしまう状態となります。しかし、とくに App Store や Google Play などのプラットフォームにおいて、予約ページ、ストアページは公開処理をしても即座に公開されるときと、1日程度間を置いて公開されるときがあり、イベントの発表と同時に間に合わせるのは難しい状況です。
以前、イベントの半日程度前にストアページを公開して、告知だけしないでおいてくれれば目をつぶります、と Clubhouse でおっしゃっていましたが、公式で一切告知しなければ問題ない、という認識は変わらないでしょうか。

A.はい、問題ございません。
半日前くらいでしょうか。

Q.Premiere 枠に選ばれるために必要なニュース性とは?

広告効果の高い Premiere 枠を狙っている方は多いと思いますが、ゲームが「面白そう」であることは大前提として、Premiere 枠に選ばれるための付加価値となる「ニュース性」とはどのようなものがあるでしょうか?
例えば、下記のようは情報はいかがでしょうか。

1.ILE で初めて発表されるゲーム
2.既存作品なら超大型アップデートやコラボアップデートがある
3.有名クリエイターやスタッフの参加が初めて発表される
4.記念セールを実施する

優先順位、他にもあれば教えていただけると嬉しいです。

A.面白そう、というのが前提にまずあった上で、ニュース性はその面白さを拡散するための付加価値です。
具体的に何があればという定義や、要素の優先順位を決めることは控えておりますが、上記要素はすべて考慮に入ります。

Q.PV で気をつけるべきことなど、アドバイスがあればお願いします。

ILE は動画で行われるオンラインイベントという性質上、PV が非常に重要になってくると考えられます。
主催側から PV に関してアドバイスをいただけないでしょうか。

1.15秒で注意を引く何かがあること。
2.必要な情報が入っていること(売日などは別途提出するので、検索語、Twitterアカウントなど?)
3.言語に依存しないこと(ILE は多言語圏に展開するため)

などは容易に想像されますが、いかがでしょうか。

A.これらはそのとおりですが、中でも群を抜いて重要なのは1です。
非常にたくさんのタイトルが紹介される番組になりますから、その中で自分の作品にどう興味を持ってもらうかというところからお考えいただくことが肝要です。
また、細かいところですと、シークバーが入っていない、など動画の体裁の部分で気をつけることはございます。
ちょうど別のインタビュー記事が出ておりまして、こちらを参考にいただければ。
https://indiegamesjp.dev/?p=2934

Q.提出ファイルの情報変更期限はありますか?

公式サイトを見ると、提出ファイルには「2021年6月6日16:00(JST)までダウンロードできる状態で」とありますが、あとから良いメインビジュアルや PV ができた場合、その日までファイルを差し替えられるのでしょうか。
それとも提出したら終わりでしょうか。

A.ファイルの差し替えは応募締切同様、4月19日までとなっております。応募者には別途その旨をご案内しております。
基本的には締切を守る形で準備いただければと思いますが、どうしても差し替え等を行わなければならない事情が発生してしまった場合は別途お問い合わせよりご連絡ください。

Q.INDIE Live Expo で重視される「面白さ」とは何ですか?

ILE では、面白さが一番重要とされています。実際、ゲームにとって重要なものはそれだと思いますが、そもそも ILE が考える「面白そう」とはなんでしょうか?

A.Premiere で過去紹介した『クラフトピア』は、そのゲーム内容・コンセプトが前例のない存在でしたし、『天穂のサクナヒメ』では、実際に制作者が米作りを学ぶところからはじまり、長年かけて完成したというエピソードを紹介しました。
そういったインディならでは、少数規模で開発するからこそ発露する制作者個人の感性、物語性、タイトルの独自性というものが、AAAタイトルなどでは代替できない「面白さ」として、多くのユーザーの心を打つものと考えます。
ILEでは「独立不羈の魂」を感じられる作品を重んじています。

おまけ.回答から見える今回の ILE の対策とか

今回いただいた回答からは、とくに短時間枠では前回までの ILE とは異なる対策が必要になることがわかる。
そこで以下に、前記の回答を踏まえて自分が考えたこととか、アドバイス的な物などを書いていく。

テキスト資料の重要性と扱い

まず、「日本向けの映像では、Waves(短い枠)でテキストが読み上げられない」こと。
印象的な PV だけをつくり、テキストの読み上げで補足してもらうことは、日本では期待できない(逆に英中でテキストが読まれるので、動画内に日本語を埋め込む手もありそう)。

また、英中向けには魅力を抽出してテキストを考えなければならない。
ゲームの売りを言語化については、プレスリリースの書き方で説明しているので参考にしていただければ幸いだ。

前記の記事で書いていないこととしては、ある種のネタゲーであったり、突出して奇妙な部分を売りとしたゲームだった場合は「この説明はTwitterでバズるだろうか、どのような言葉でプレイヤーが話すだろうか?」という観点で見直してみると、注意を引く文になりやすい。
そして、テキストがまとまったら、見てもらって「意味が分かるか、魅力的か」確認した方が良い。

もう1つ、テキストなどで差をつけられそうなのは、提出するゲーム説明資料。先の「INDIE Live Expo で重視される「面白さ」とは何ですか?」の項目にもあるとおり、インディーならではのエピソード、独創性など、PRポイントがあれば書いておくのも良さそうだ。

PVはものすごく重要

日本ではテキストが読み上げられない関係上、とくに短時間の Waves 枠では PV がすべてになる可能性が高い。PV が面白くなければ、出ても成果が出ないので、PV は頑張って損することはない(リリース時のプロモであわせて使う気持ちで労力を割いてもいいのかも)。
Twitter で情報を募集したら、えらくいい感じの予告映像制作動画が上がってきたので、まず作り方動画を紹介しておく。

独立系ゲームの予告編映像を制作する方法 | Game Maker's Toolkit

でもって、私自身は PV をつくらないので、数百万DLは達成している(と思う)『くまのレストラン』作者、Daigoさんにサクッと「私はこうつくりました」という話を聞いてきた。

Daigo:
(短いPVをつくるコツは)ストーリーゲームならば、短い尺のなかで感情を揺さぶるってことじゃないでしょうか。
ただキレイなだけじゃなくて毒を入れるとか、動画の中に引きを作ることです。

『くまのレストラン』に関しては、実際につくって Facebook に投稿したりして人にボコボコにされながら改善していきました。
フィードバックを得てつくるのは大事ですね。
あと、私のところは全世界対応する関係上、テキストはなるべくない方向でつくっています。
ちなみに自分はAppleの30秒の制約に最適化されてる部分があり、長い尺は今後の課題ですね。

『Zelle』も15秒あたりは結構工夫したつもりですね。
動画みてるはずなのにゲームプレイしている感覚に一瞬なるというか……上手くいってるかはしりません。

ゲームプレイをイメージできる、はやっぱ大事なんじゃないでしょうか?
あと、まあ、地味に音楽重要ですよね。
動画の切り替えと、音のリズムあわせるとか。

ただこういっちゃなんすけど、素材の時点で無理なものはどう料理しても無理ってのはありますよね
素材がいいと、プレイ画面映すだけで魅力的とかはある(アクションゲームとか)。

以上。

・つくったら人に見せて感想をもらう
・音楽に合わせて切り替える
・短い中で感情を揺さぶる
・ゲームプレイをイメージできる

あたりを意識すると良さそうだ。

告知:4月10日20時30分から、もろもろ質問受け付けトーク番組やります

こういう記事を書いている中で、前回 ILE で『NEEDY GIRL OVERDOSE』を発表して話題になった、ワイソーシリアスの斉藤大地さんと、4月10日20時からDiscordでトークをすることとなりました。

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Discordとは、登録制の掲示板みたいなものですが、最近は Clubhouse のように登壇して話す機能がついたので、そちらを利用して「オンラインイベントでのプロモーションについて考える」をテーマにトークします。

前回書いた ILE の調査データに関する質問、この記事に対する質問、そもそも昨年のTGSとか、世界各国のインディーイベントの話どうですか、など誰でも登壇して質問できるようにする予定ですので、「オンラインでゲームの知名度を上げたいと思っている!」という方、是非いらして下さい。

おまけ2.アプリプラットフォームの予約機能について

具体的には明かせないが、アプリではプラットフォームの予約受付機能は転換率が飛びぬけて高い。なんせ、Google Play はスマホに確実に通知してくれるし、App Store はリリースしたら自動的にダウンロードしたうえで通知してくれる。
予約受付をスタートするつもりで、プラットフォームの機能をつかうことを間に合わせられそうなら、ぜったいやった方が良い。

できない場合はどうするか?
最低でも公式Twitterアカウントを告知してフォローしてもらうぐらいはやろう。
あとは、公式ページでメールアドレスを集めてメルマガ形式で情報を送るか、公式Discordを作って呼び込むか(もちろん、リリースまでDiscordを運営できなければ抜けられるのでこれは難易度が高い)、予約TOP10のような場所に送るか使えそうな手があればやると良い。

補足となるが、App Store の場合なら180日以内など、予約受付からアプリリリースまでの期限が定められている。つまり、予約するなら iOS は ILE での放送から180日以内で完成していないといけない計算になる。
その他、各プラットフォームで予約に関してルールはあるはずなので、別途守れるようにしなければならないので注意。
規約を守るために未完成でリリースして評価が微妙……みたいなものが一番まずい。

おまけ3.このILE参加レポートが良かった

過去の ILE 参加レポートで目についたもので、これが良かった。

私は自分のゲームが出た途端、youtubeとニコニコのコメ欄に「作者です拙作をお願いします」的なことを書き込んだのであった。
(抜粋)

これ、インディーゲームだからこそできる技だし、とくに第3回は日本語テキストは読み上げられないので使えそう。

げーむきゃすと は あなた を みて、「さいごまで よんでくれて うれしい」と かたった。