日本の「キャバクラゲームショウ」と海外のゲームショウ

こんな記事を読みました。

第18回『“キャバクラゲームショウ”やめませんか?』の巻|ゲーム制作会社 サイバーコネクトツー 松山洋の「絶望禁止」ブログ

最近のTOKYO GAME SHOWは露出の高いコンパニオンばかりが目立っていて、肝心のゲームコンテンツで勝負できてないんじゃないの?というお話です。

昔からゲームショウを知る、ある程度の年代以上の人には理解できる話だと思いますが、私としては、そもそもの日本国内のゲームコンテンツの多くがお色気頼りの現状なので、それを写す鏡だったのではと考える方が自然な気がしました。ゲームショウは良くも悪くもその年のゲーム業界の姿を写していると思います。

今年のゲームショウは不参加でしたが、いよいよ日本でも盛り上がってきたVRの展示ひとつ取ってみても、女の子の体を触るだのスカートの中を見るだのといった、そういうのは昔ならクローズドブースで出展されていた(実際、初代の龍が如くはクローズドブース上映のみだったはず)ようなものが表に出てきているなという気がしました(VRコンテンツのうちのほんの一部だとは思いますが)。バイオレンスやホラーはクローズドで、こういった「ハレンチな」コンテンツはオープン、というのも不思議な話です。

話は変わって海外の話になるのですが、今年はE3 EXPO(世界最大級とも言われるアメリカのゲームショウ)に初めて参加してきました。こちらは一般のファン向けのショウではなく、問屋やメディア向けのイベントなので、TGSとは毛色は異なりますが、事前に身元さえきちんと提示すれば(最近は個人でYouTuberとして活動するメディアジャーナリストもいますし)、割と誰でも入れるようなので、ちょっとハードルが高い程度で、一般のファンと思われる方はたくさんいました(さすがに子供はいないですが)。

E3のとてつもなく広い会場を一通り回ってみて思ったのですが、いわゆる「Booth Babe(コンパニオン)」って今ほとんどいないんですね。「カメラ小僧」のような日本の文化はあちらにはあまりないのかなと思ったのですが(もちろんメディアの人はいるとして)、じゃあ向こうは何を撮るかというと、「コンパニオンを撮る」よりも「ブースと一緒に自撮りする」方がトレンドみたいです。

今年のE3ではとにかく「自撮りしてシェアしてね!」というのを奨励するブースを多数見かけました。キャラクターの等身大パネルやフィギュア、あとはそのゲームの世界観を表すジオラマなど。会場ロビーに展示されていた、3メートルはあろうかという、「でぶチョコボ」の巨大フィギュアに実際にまたがって写真が撮れる、という「ワールドオブファイナルファンタジー」の展示では、(実際ゲームのことを知ってるかどうか怪しいですが…)海外のファンの方々で長蛇の列ができていました。

ブースで対応してくれる方は、広報さんや開発者といった社員とおぼしき方が多いです。ゲームについて質問された際に、ちゃんと受け答えできるようにコンパニオンを教育する必要もありますから、そういったことにお金をかけるなら、その分ブースにお金をかけよう、という傾向にあるのかもしれません。広々としたブースをぜいたくに使って、家をまるごと建ててしまったようなブースもいくつか見かけました。

話は日本に戻りますが、別に海外が日本よりも優れているという話がしたいわけではなく、日本もE3のようにきちんとゲームを見せることにお金と労力をかけるべきだ、というつもりもありません。(その主張は理解できますが)

日本はもともと性に対して非常に(ある種異様に)寛容な国だと思います。某アニメの「18歳未満のキャラクターがエロゲーをプレイする描写」が許される国はおそらく日本だけだと思います(海外にも翻訳されていそうですが)。ある種、エロも「ポップカルチャーの一部」として認識されているためだと思いますし、同人誌文化の独自進化などもその現れと言えるかと思います。

その辺を掘り下げ始めるとキリがないので、専門家の方におまかせしますが、冒頭で述べた現在のゲームがお色気に頼っている現状というのは、その流れから発生した自然なものだと思っています。もともと日本のポップカルチャーとお色気は切っても切れない関係にあるということで。今の日本の子どもたちはそれによって育っているのが事実です。

個人的には、ゲームショウというものを、海外で言う「PAX」や「コミコン」といった、ファン主体のものと、がっちりゲームを見せるためのものとに分けてしまう(今もビジネスデイと一般日で分かれてますが)のがよいのかなという気はしました。

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