【学級通信】「つかみ」が大切

文章は書き出しで9割がた決まると言われています。

「題名(タイトル)」と「書き出し(一文目)」だけで面白いかどうかがほとんど決まります。

文章以外でも、出だし、いわゆる「つかみ」というのが大切だと言われています。





例えば、漫才。

2017年M-1王者になった「とろサーモン」(その後色々問題になりましたが)。

この時の決勝のネタについて、審査員の博多大吉さんがこう評価しています。


つかみが一番早かった。


1組だけ一か所だけ優れたところがあったといって、「つかみ」をあげたのです。

これで優勝が決まりました。

とろサーモン4票、和牛3票でしたので、もし「つかみ」がいまいちで博多大吉さんが和牛(もしくはミキ)に投票していたら、とろサーモンの優勝はなかったかもしれません。

それほど重要なのが「つかみ」なのです。





ドローンエモーションという会社があります。

この会社はドローンで撮影した映像を使って動画を作るということをしています。

その会社の代表取締役の田口厚さんという人がいます。

田口さんは次のように言っています。


つかみでどれだけ人の心をひきつけることができるかということはとても重要な要素の一つです。



インターネットを閲覧している人が、自分に必要かどうか判断するのは3秒と言われています。

動画でも15秒が限界だそうです。

その数秒で「いる」「いらない」「面白そう」「面白くなさそう」を人間は判断するのです。

だからこそ、最初の「つかみ」は大切なのです。





音楽でもそうです。

演奏会ではプログラムの最初の「つかみ」に、短くて、インパクトのある、そして演奏者・歌い手が自信のある曲を持ってくることが多いそうです。

3年生以上の音楽を担当して下さっている、〇〇先生からうかがいました。




「漫才」「動画」「演奏会」


観る人(聴く人)を惹きつけるための「つかみ」に多くのエネルギーを費やすのは様々な世界での共通点のようです。


土曜日から始まったプロ野球日本シリーズ。

ラグビーでそれどころじゃなかったので、土日は観ていません。

昨日は観ました。

さて、過去の成績を見てみると、第1戦を勝利したチームが日本一になったのは、42回ありました。

一方、初戦に負けたチームが日本一になったのは、24回。

短期決戦なので当然と言えば当然ではありますが、「つかみ」ともいえる第1戦に勝った方が有利だと言えるでしょう。


ちなみに、プロ野球シーズンの「つかみ」ともいえる開幕戦には、各チームのエースピッチャーが先発します。

「つかみ」の大切さがここにも表れているのかもしれません。




「つかみ」の大切はこれぐらいにしておいて、その「つかみ」をいかに上手くしていくか。

文章の「つかみ」の書き方を指導するのも大切な作文指導です。

色々な書き出しのパターンはあります。

・かぎかっこ「 」から始める。
・オノマトペから始める。
など、すぐにできるような簡単なものもあります。

タイトルと関係ない文から始めるような少し難易度の高い書き出し方法もあります。

パターンはいくつかありますが、それを使いこなすには時間がかかります。

すぐに身につくものではありません。





そこで、今回は「習うより慣れろ」で書き出しを指導しました。

上手な書き出しを真似するのです。

「学ぶ」という言葉は「真似ぶ」からきているとも言われています。

学ぶこと(勉強すること)は、上手な人の真似をすることから始まるのです。





学校には真似をするに値する素晴らしい文章の数々が置いてある場所があります。


図書室です。


文章を真似することに関しては宝の山ともいうべき場所です。

天理小学校の図書室には1万冊を超える本があります。





本を書いている人たちは、文章を書くプロです。

プロの書き出しが1万通り以上も並んでいるのが図書室です。


本の書き出しをできるだけたくさんノートに写しなさい。


子どもたちのノートには数々の書き出しが列挙されました。

・むかし、おにはたくさんいました。
・さて問題です。
・「えーっ、この家。」
・ぎらぎらぎらぎら・・・・・・
・あこちゃんは、うそつきです。
・もしもしわたしです。きこえる?
・男の子はふと目をさましました。
・あたたかい、かぐわしい夏のゆうべ。

などなど。






今日の宿題の日記、明日の校外学習の作文の書き出しは、自分のノートに書いたものや他の本の書き出しなどを参考にしながら書いてみましょう。(そっくりそのまま真似するのもOK)

自分が「面白い!」と感じるものは、読む人も「面白い!」と感じるはずです。





3年前に2年生を担任していた時の通信です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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