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モンブランの謎

結婚当初に住んでいた場所の最寄駅前の、ロータリーの外れに、一軒のケーキ屋さんがありました。初めて入ってショーケースを眺めて、見慣れない形のケーキに見慣れた名前がついていたことに、ん?と思いました。

↑の写真の形状の、「モンブラン」でした。

モンブラン、といえば黄色い栗のペーストがそばみたいにうねうねと乗っかってるケーキ、というのがそれまでの概念でした。でもここのは栗のペーストがシート状になってて、中味のクリームをくるんとなめらかに包んでて、それまでに食べたことのない贅沢な風味と舌触りで…こーれーはー美味しいー!!と一気にファンになって、ことあるごとにここのモンブランを買って堪能していた記憶があります。

それから20年。2年くらい前の話です。

その後夫の実家に引っ越したので、そのケーキ屋さんに行く機会もなく、すっかり忘れておりました。が、あるとき「美味しいモンブラン食べたいね」とnoteのお友達で話題になって、思い出したのがあのシート状モンブランでした。場所と「モンブラン」で検索してみたら…やすやすと↑の写真のモンブランが出てきて、そこそこ「名物」扱いされてて、あー今もあるんだよかった!と安心しました。いつかそのうち行って買おう!と機会を狙っていました。

…実は、この検索したときに、最寄駅は同じでもお店の場所が記憶と違っていたのです。小さな疑問は抱いたものの、20年も前の話だしどこかで移転したんだろうなあ、と。

で、話はここ数日に戻ります。

とある事情(笑)でその懐かしい市内に行くことになり、そのモンブランで有名なケーキ屋さんの系列店が用事先の近所にあることを知りました。もういてもたってもいられなくなり、でもケーキ屋さんに寄れるとしても夕方になるしなーと思って電話してみたら予約頼めるとのこと、モンブラン4個を夕方まで取り置き頼んでしまいました。

で、昨日。

朝からその懐かしい街を訪ねとある事情をこなして、電話で頼んだ時間にそのお店に向かいました。まっすぐ店員さんに名前を告げて予約の品を用意してもらってるときにふとショーケースを見ると



え?

モンブランってこれ?

デカくない???

なんか…記憶よりも倍のサイズなんですけど!


と、不安を胸に抱きながらとりあえず家に帰って、箱を開けてやっぱりこんなにぽってりおおらかなサイズ感じゃなかったよなあ、直径5センチくらいの小ぶりでしゅっとしてて「贅沢」感のあるケーキだったよなあ、と。

食べてみると味は記憶とさほど違いはなかったのですが……

このサイズ感は「贅沢」というよりは「お得感」で、なんかヘタするとおなかいっぱいになってしまうような庶民的な感じで。

夫には「まあ記憶なんてそんなもんだよ」と笑われたのですが。


どうしても気になるのでネットでしつこく調べてみたら、どなたかのブログに「昔同じ駅に○○○って洋菓子店があって、そこのモンブランと見た目は同じですが○○○のは中味はすべて生クリームでした。これも激美味でしたが今はお店がなくなってしまいました」という記事がありました。


…こっちだ!


今まで、店の名前は全然記憶がなかったのですが、この記事を見て店名を思い出しました!

この、↑の写真のモンブランもとっても美味しいのですが、…わたしが惚れ込んだあのモンブランとは違いました。これは底部分にロールケーキのスライスが入っているのですが、アレはただ栗のシートと生クリームだけ、というシンプルさにもかかわらず、濃厚な満足感のある美味しさでした。

あー。

やっと真実に行き当ったと同時にもう今はそのお店がないという事実も知ってしまったという残酷な現実。

20年以上という時の流れを噛みしめながら、4つ買ったけど長男は栗好きじゃないので残ってるあと一つのモンブランをいただこうと思います。

これも美味しいんだよ~~~!

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