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家で「大学生協の冷やし坦々麺」をつくる

唐突だが、冷やし担々麺が好きだ。

日本で一般的に坦々麺としてイメージされる料理は、四川省出身の料理人陳建民が、四川式の坦々麺(いわゆる汁なし担々麺)を日本人好みに改良した作り方を紹介したことで広まった。一方で、冷やし坦々麺については明確な起源は知られていない。中国では一般的には冷やした麺を食べる習慣はないため、日本で独自に発展を遂げたと推測される。恐らく、冷やし中華や冷麺などに着想を得て各地で広まっていったのではないだろうか。今ではコンビニにも冷やし坦々麺は売られている。

ところで、皆さんは「大学生協の冷やし坦々麺」をご存じだろうか?

愛すべき大学生協の冷やし坦々麺

これがめちゃくちゃ美味い。個人的には生協の食堂で1番好きなメニューだ。私の通っていた大学では夏頃になると、食堂のメニューに名前を連ねる。生協の提供するメニューなので、多くの大学で同様のメニューが展開されており、Googleで「生協 冷やし坦々麺」で画像検索をかけると様々な大学の冷やし担々麺を見ることができる。

さて、私はこの「大学生協の冷やし坦々麺」を大学を卒業して以来食べていないのだ。もちろん、母校の食堂に赴けば食べることは可能なのだが、食堂の主な営業時間は平日の昼間であり、サラリーマンの私がこの時間帯に気軽に食べにいくのは難しい。だが流石に食べたかったので、家で再現したものをつくることにした。

本稿では、生協の冷やし担々麺の詳しい解説とその再現レシピを紹介する。再現するにあたって、手軽につくれる点も意識する。たかだか生協のメニューにめちゃくちゃ時間をかけて緻密に再現するのも違う気がするし、夏の料理レパートリーに加えたいとも思っているからだ。

冷やし坦々麺を分析する

まず、生協の冷やし坦々麺がどのような具材で構成されているかを記憶と画像を頼りに紐解いていこう。

ネットで検索して出てきた画像のうち、私が食べていたものに最も近いもの

麺は生協のラーメン共通の縮れ麺が使用されている。私の通っていた大学ではかなりキンキンに冷やして提供されるため、温かい麺よりもコシが強く感じられる。

スープはラー油と芝麻醤が効いた坦々麺スープだ。とはいえ、スープ自体はそこまで辛くはない。スープの量はぶっかけうどんよりちょっと少ないくらいで、汁あり坦々麺のスープに比べて少し濃い。

麺の上には、辛い味付けのひき肉、もやし、にんじん、ネギが乗っている。もやしとにんじんは茹でられており、これは生協の味噌ラーメンの上に乗せる野菜と共通である。茹で野菜の上には辛い味付けのひき肉がのっている。このひき肉には輪切り唐辛子がかなり入っており、かなり辛い。これも生協の坦々麺や台湾ラーメンと共通のものだろう。冷やし坦々麺の具材は全て他のメニューと共通のものが使われており、生協サイドの工夫が感じられる。

私の通っていた大学の味噌ラーメン
こうして見ると、もやしとにんじんとネギの構図がほぼ同じである

冷やし坦々麺を麺、スープ、具材の三銃士に分解してみると、具材は手軽につくれそうだが、スープが難しい。家でつくるたびに麺やスープをいちいち仕込むわけにはいかないので、これらは市販のものを活用したい。スーパーで一般的に売られている市販のラーメンをいくつか試し、手に入りやすさと再現度を考慮した結果、今回私が選んだのは以下の商品である。

今回のリーサルウェポン

これが一番ちょうどよかった。どこにでも必ず売っているというわけではないが、割と一般的に売られている商品である。私の経験だとちょっと大きめのマックスバリュにはだいたい置かれている。普通にざるラーメンとして食べても十分おいしいので、見かけたらとりあえず買っておくといいと思う。1袋につき2人前入り。

冷やし坦々麺をつくる

麺とスープを同時に解決して勢いがついたところで、早速冷やし坦々麺をつくりたいところだが、まず取りかかるべきは上にのせる辛い味付けのひき肉である。辛い味付けのひき肉と呼び続けるのも締まりがないので、ここでは辛炸醤(からザージャン)と呼ぶことにする。材料は以下の通り。

材料
ひき肉     適量
輪切り唐辛子  適量
豆板醤     適量
甜麺醤     適量
醤油      適量
酒       適量
みりん     適量

私が家で普段の料理をする際に、調味料の計量をしないことは母からの遺伝である。今回は、普段の料理としての冷やし担々麺を目指しているため、当然目分量で調理を行う。甜麺醤は無くてもいいが、あると本格的な味になる気がする。ない場合は代わりに砂糖を少しいれるといい。味を再現するなら輪切り唐辛子だけでは辛さを出しきれないため、豆板醤は必ず必要だが、辛いのが苦手な場合は無くてもいい。つくり方は以下の通り。

  1. 油を少しだけひいたフライパンにひき肉を入れる

  2. ざっくり炒めたら輪切り唐辛子と調味料を全て入れる

  3. 調味料の汁気が無くなるくらい炒めたら味見をしてみて、良かったら完成

辛炸醤の粗熱を取っているところ

完成したら粗熱をとっておく。冷やし坦々麺自体はキンキンにしたいが、辛炸醤までキンキンに冷やしてしまうとひき肉の油脂分が個体になってしまい、食味が悪くなるため、常温くらいまで冷ますのが望ましい。この辛炸醤は普通にご飯にかけて食べても美味しいし、豆腐と鶏がらスープがあれば麻婆豆腐にすることもできるので、多めにつくっておくことをオススメする。

これで冷やし坦々麺をつくるための準備が完了した。改めて材料を整理する。

材料(2人前)
坦々だれ ざるラーメン  1袋
辛炸醤          適量
もやし          適量
にんじん         適量
薬味ネギ         適量

冷やし担々麺の材料
左下はざるラーメン添付の担々だれ
  1. にんじんは細切りにする。ネギは小口切りにする。

  2. にんじんともやしを茹でる。茹で上がったら流水で冷まし、絞って水気を切っておく。

  3. 麺を袋の表記通りに茹でる。茹で上がったら流水で粗熱を取った後、氷水につけてキンキンに冷やす。

  4. 麺の水気ををしっかりと切って、器に盛る。その上にもやしとにんじん、辛炸醤をのせる。

  5. 添付のたれを袋の表記より少し濃いめくらいに薄めて麺にかける。

  6. 最後にネギをちらして完成。

完成


冷やし坦々麺を食べる

生協の冷やし坦々麺を長らく食べていないので、全く同じ味かと言われると比較は難しいが、味は十分満足できるものになった。

ただし、生協のものと比較するとスープの量が少ない。これは商品の都合なので仕方のないことだが、もし生協のものと同じ量のスープをかけて完全再現するなら、2人前分のスープを1人前の麺にかけるといいだろう。しかし、この場合麺が1人前分余ってしまうし、そもそも1人前分のスープで料理に必要な量としては十分であるため、あえてやる必要はないだろう。

また、改善点を挙げるなら、生協の冷やし坦々麺はもう少し辛かった気がする。敗因は豆板醤不足で、たまたまこの日残りわずかしかなかったため十分な辛味を加えることができなかった。

おわりに

つくり方としては辛炸醤まで含めると少々複雑に見えるかもしれないが、慣れてくると、もやしとにんじんと麺を同時にゆでたりするなどで時短をすることもできるため、案外手早くつくれる。休日の昼間のちょっとした料理にいかがだろうか?

ところで、生協の食堂に行けないなら自分で作ってしまえばいいと思いたって始めた冷やし坦々麺づくりだが、結局のところ、自分のつくった冷やし坦々麺の答え合わせをするために生協の食堂に行きたいという思いが強くなった。生協の食堂は冷やし担々麵のUberEatsをするべきである。

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