ことばのカタログ

直感的に「いいな」と思った言葉をiPhoneのメモ帳に記録するという趣味を、3年くらい前から続けている。

ただそれまで知らなかった言葉であるだけじゃだめで、もっと感覚的に、語感や響きが気に入ったものだけを集める。

「滂沱」「才媛」、天声人語を読んでいて見つけた熟語。

「デリのコーヒーの最後の一滴のような生ぬるさ」なんていう、大学の講義の中で先生が言っていたオシャレな例え。

友人が編み出した「シラミ=ローラー(しらみつぶし+ローラー作戦=とにかく徹底して全部当たる、の意)」という造語まで、【いい日本語】と題した究極に厨二病的コレクションのベンチには現在、紡ぎ出された108の日本語が肩を温めて待っている。

わかってくれそうな友人を選んで「実はこんな趣味を密かにやっていてね…」と耳打ちするのだけれど、大体は引かれるのがいつものパターンだ。

やっているのは、知らない言葉を知るという感覚は何にも代え難い喜びがあるから。

あともう一つ大きいのは、「言葉で自分らしさを出したい」っていう欲求。

言葉というのは、相手に伝わるから尊い。
難しい言葉、専門的な言葉を使ってドヤるペダンティックな行為は具の骨頂だと思うけれど、一方で、誰でも使う言葉を誰にでも分かるように使うのもめちゃくちゃ難しいし、平易な言葉を紡ぐだけではそこに個性は生まれない気がする。

仲のいい友達とお出かけの時間を確認するとき、「万障お繰り合わせの上お越しください」って言えばそのわざとらしい表現に笑いが生まれると思う。

真ん中に赤い梅干しが入ったのり弁を「バングラデシュの国旗みたいだな!」とツッコんだ、お笑い芸人・学天即のセンスに憧れたのは自分だけじゃないと思う。

「聞けば普通にわかるけどわざわざ使わないよね」っていう言葉のギリギリを攻めて、みんなが知っているけど誰もやったことのない選択と組み合わせを考え、自分にしか紡げない言葉を使いたい。
それが自分なりの自己表現なんだと思った。

「真っ青な色のセーター買ったんだけどさ」
「どんな色の青?」
「ポカリスウェットの缶みたいな青」

普通にどこかで誰かがしてそうな会話。なにも特別じゃないかもしれないけど、自分はこういう会話のセンスがすごく好き。

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ガオチャオ

何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.3

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