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山小屋は寝られない!絶望のコンディションで富士山山頂、ご来光を目指す

富士山登山において、もっとも難しいこと。それは、山小屋で寝ることである。合宿所のような寝床に分厚い寝袋は素晴らしい設備に感じるし、無茶苦茶に疲れてるんだから問題ないでしょと思ったら大間違い。空気のないということの恐ろしさを存分に味わう羽目になった。

まず、酸素が足りないため、寝転がっていてもジョギングほどのスピードで呼吸する必要がある。そして、眠りについたらついたで、十分な酸素を取る事ができない。そのため、起床時の私の体調は、

寝不足×軽い高山病

まさかそんなことで高山病になるとは……。とはいえ、ここまで来たんだ。根性出して登るしかない。カイロを取り出し、上着を着たら、朝の3時に登山再開。外は真っ暗なので頭にライトをつけた。

ここからは、富士登山で最も人気な吉田ルートと合流する。狭い登山道で渋滞が起き、自分のペースで登ることはできなくなる。この時、それぞれの頭のライトが一列になり、遠くから見るとすごく綺麗だ。見下ろすと、雲の下から光の道がずっと続いている。それを見ると、なんだか勇気が湧いてくる。

雲海、人の光、夜景が美しい
月が出ているが、ここが日本一宇宙に近い星空スポットだ。

自分のペースで歩けないことは、今回の場合すごく楽に感じた。ゆっくりと登るので休憩がいらず、一定のペースなので安定している。ものの30分ほどで9合目を過ぎた。夜空の星座を見つける余裕もできた。ここが日本一空に近い場所だ。途中道に迷ってそうなイギリス人がいたので、声をかけた。道を教えて、頂上で会おう、と。

1歩、また1歩とゆっくり進む。山頂の手前には岩場のゾーンがあり、両手両足で登っていく。つづら折りになる道を曲がり、狛犬の先に鳥居が見えた。焦る気持ちを押し殺して行儀良く進む。この鳥居の先が、念願の山頂だ。

この鳥居が山頂への入口だ。

日の出の約1時間前に、山頂についた。既にたくさんの人でごった返している。山頂には山小屋、神社、郵便局など色々なものがあり、吉田ルートに近い山頂はコンテンツが豊富だ。ちなみに郵便局は閉山ギリギリということもあり閉まっていた。台風の影響もあるようだ。杖に焼印を押してもらって、東側の良さげなところに陣取る。神社の前にさっき話したイギリス人が!無事に道に迷うことなく来れて良かった!!

山頂の神社。お守りも買えたりする
イギリス人顔めちゃ元気やな今みると


朝ごはんをここで食べようとパンを出したら高すぎる気圧で袋が破裂していた。寒すぎるので缶のお茶を買ったら、1個500円だった。アメリカの空港レベル。

日の出時刻の5:10分頃には、東側は大盛り上がり。今か今かと雲海の向こうを待っている。しかし1分、また1分とすぎても、空は赤くなるばかりで太陽の姿がない。20分ほど待ったところで、日の出を待つ輪が解けた。どうやら日の出は雲の中だったらしい。すでに空は青く明るくなっている。

ご存知の通り、富士山の山頂には火口がある。それをぐるっと回り、3776mの剣ヶ峰を目指すことを、お鉢めぐりという。つまり、山頂についても終わりではないのだ。吉田ルートとは反対側にある剣ヶ峰をめざし、45分ほどまた歩いた。火口はまるで月の上のようで、赤黒く、無機質で巨大だ。風も強いので、帽子が飛ばないように気をつけながら、3776mの頂へ向かう。

月面のクレーターみたい!!
尾根に沿ってぐるっと1周



剣ヶ峰が見えてきた。と、ここで衝撃の事実を見てしまう。


山頂の隣に山頂より高いものがある!!


どうやら気象庁のものらしいので仕方がないが、とんでもなく興醒めだ。日本一高い場所に立つには、富士山に登るだけでなく色んな資格を取ったりしてこの施設に入らなければいけないなんて!

それでも山頂の片側は開けているので、写真を撮るぶんには差し支えない。三角点と、最高峰を記す石碑と写真を取ったら、列を作って待っている人に譲ろう。

三角点?何か意味ありそうな石
山頂にて!


帰りは御殿場ルートで麓を目指す。このルートもアニメに準じたものだが、まあエキサイティングなものになっている。その話は、また続きで。

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